2017 Fiscal Year Research-status Report
デジタルサイネージへの多重情報埋め込み技術に関する研究
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17K00163
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
海野 浩 神奈川工科大学, 情報学部, 助教 (40387080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上平 員丈 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (50339892)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マルチメディア情報生成 / 情報ハイディング / デジタルサイネージ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,情報の埋め込みから提示までの全体の整合性を保つために必要な基本設計を行い,それに基づいて,情報の埋め込み方法および情報の抽出方法の検討を行った.表示画像中への情報の埋め込みにおいては,表示画像を劣化させないように埋め込まれた情報の不可視性が求められる.一方,撮像画像からの情報の抽出においては,埋め込まれた情報の可読性が担保されなければならない.すなわち,埋め込まれた情報の不可視性と可読性はトレードオフの関係にあるので,両条件を満たす埋め込み条件を明らかにする必要があった.そこで時空間的に輝度を変調させた文字列パタンを用いて埋め込まれた情報の不可視性と可読性について実験を行った.不可視性の検証では,情報を埋め込み先である色成分と埋め込む情報の輝度変調値を実験パラメータとして20名の被験者で主観評価実験を行った.実験の結果,不可視性の高い色成分は青であり,輝度変調値が9以下で不可視性が90%以上であることが明らかになった.一方,赤・緑の色成分に情報を埋め込んだ場合の不可視性は極めて低く,情報を埋め込む色成分として実質的に使用できないことが明らかになった.次に,不可視性の実験結果に基づき,情報を青色成分に埋め込んで可読性の検証を行った.実験の結果,振幅変調値が4以上で埋め込んだ情報を抽出できることが判明した.なお,情報抽出時の時間的同期方法は1周期4フレームからなる4フレーム変調法を適用した.以上の結果から,不可視性と可読性の両条件を満たす埋め込み条件は,埋め込み先の色成分が青色であるとき,輝度変調値が4以上9以下であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,基本設計,情報の埋め込み法(空間多重化を除く),情報の読み出し法における同期法(空間的同期法を除く)の検討を行った.特に,情報の埋め込み方法において時空間変調を用いた場合の不可視性と可読性の両立性について,埋め込み先の色成分に対する人間の特性による不可視性と可読性における輝度変調値の範囲を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果に基づいて,第2年度以降は次のように研究を推進する. 第2年度は,まず,埋め込みの時間的多重化方法の検討を行う.情報を読み出すことが可能な最小フレーム数を実験的に明らかにし,時間的多重化法の基礎的な実現可能性を明らかにする.次に,情報の読み出し技術を検討する.情報の読み出しに必要な表示側との空間的な同期方法を検討する.具体的には,表示の最上行にディスプレイの水平方向の画素数の情報を埋め込んでおき,撮像画像からこの水平画素数を読みとり,この情報をもとにディスプレイの1画素ごとの輝度の読み出しを可能にして,空間的同期を実現する.続いて,複数の情報を携帯端末で選択して読み出す方法を検討する.埋め込まれる情報にはヘッダを付け,このヘッダに情報の種類を示すデータを含めておくものである.携帯端末上でメニュー画面を提示し,選択処理を行い,情報の種類を示すデータに基づいて選択された情報のみを読み出すことを可能にする. 第3年度は,読み出した情報の提示方法を検討する.また,誤り訂正が可能な方法や特定のユーザのみ読み出しができる方法など高度な埋め込み方法を検討する.さらに,音声情報の埋め込みについても基礎的な検討を行い,その可能性を明らかにする.
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Causes of Carryover |
大型(50インチ)有機ELディスプレイの価格は,応募時点の同クラスの標準的な価格を参考として見積もった.購入した時点では,同クラスの標準的な価格が下がり,見積額よりも低い価格で購入することができた.この差額が次年度使用額(約6万円)として生じた.この額は,次年度の図書等の消耗品の購入に充てることを計画している.
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