2018 Fiscal Year Research-status Report
二重対角行列正則化を用いた大規模悪条件問題に対する数値計算法の開発
Project/Area Number |
17K00166
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
細田 陽介 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (80264951)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大規模悪条件線形方程式 / 反復解法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大規模な悪条件線形方程式に対して有効な数値計算法を開発することにある。前年度では主に数値計算法の設計と、その理論的な解析を行った。本年度は、より実際的な問題への適用を試みた。 大規模悪条件線形方程式の典型的な例として、ボケ画像の鮮明化問題が挙げられる。ボケ画像は、求めるべき未知な画像と、既知な点拡がり関数との畳込みとして定式化できる。通常、この点拡がり関数が画像の位置に依存せずに一様な場合は、高速フーリエ変換を用いた方法で求めることができるが、点拡がり関数が画像の位置に依存して変化するような問題では、既存の方法は用いることができない。そのため、線形方程式として定式化しなければならないが、大規模かつ悪条件となるため、鮮明な画像を復元するには困難が伴うことになる。ここでは、点拡がり関数が画像の位置によって変化する3次元CT像再構成問題でのボケ画像鮮明化問題を想定し、この大規模悪条件問題への数値計算法の適用を試みた。 想定した3次元画像復元問題では、点拡がり関数を表現する線形方程式の係数行列が巨大となり、計算機のメモリ上に格納することが困難である。また、行列の転置を表現することも困難なため、解法は転置行列の不要なものを使用しなければならない。本年度はまず、比較的小規模な問題に対してさまざまな数値計算法の適用を試み、それらの解法の数値的な特性を解析し、その結果を3月に福岡大学で開催された第81情報処理学会全国大会で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、より実際的な大規模悪条件線形方程式への適用のための準備期間であり、今後の研究に必要な計算機環境の整備、各種のプログラムのライブラリ化、さまざまな数値計算法の数値的な特性に対するデータ収集を行うことができた。これらは次年度以降の研究活動に活かされるものであり、現状おおむね順調に進捗しているものといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度では、これまでの研究成果を踏まえて、より大規模な点拡がり関数が一様ではない3次元のボケ画像鮮明化問題に対して、我々の数値計算法の適用を試みる。そして、それらの結果をまとめて、英文誌フルペーパーとして投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)