2017 Fiscal Year Research-status Report
協調型自動運転に対する無線通信固有攻撃の防御に関する研究
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17K00193
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
寺島 美昭 創価大学, 理工学部, 教授 (90450965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 正史 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 教授 (00759425)
横谷 哲也 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00770801)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジャミング・サイバ連携攻撃 / 無線ネットワーク動作推定 / ブラックボックス推定 / 無線ネットワーク監視 |
Outline of Annual Research Achievements |
無線通信端末の送信電波から抽出するデータ送信量の時間変化(時系列送信ログ)を用いて、各無線通信端末のルーティング等の制御状況や、複数端末間の相関を解析する事で、アドホックネットワークに対する無線通信固有の攻撃を、制御プロトコル方式種別、制御メッセージ通信の詳細情報を用いる事なく検知するネットワーク動作推定方式を研究している.2017年度は、「協調型自動運転に与えるリスク分析」として、ジャミング・サイバ連携攻撃等の無線通信固有攻撃に関する動向調査から、検出に必要な推定情報を検討した.また、ネットワーク動作推定方式の検討、その後の推定精度向上や推定項目の追加検討、さらに最終的にジャミング・サイバ連携攻撃検討防御を実現する方式への拡張を検討するために、ネットワーク・シミュレータQualNetを用いたシミュレーション実験環境を構築した.これは時系列送信ログを計算して生成する機能、及びネットワーク動作の推定検証を行う機能を備える.本シミュレーション実験環境を用いて、「無線通信固有攻撃の攻撃検出方式」として、時系列送信ログ解析を用いたネットワーク動作推定方式の基本アルゴリズムを開発し、実際にアドホックネットワーク基本動作である無線ルート、ルーティング方式、複数通信の衝突時間の推定に成功した.一方で多重化トラフィックにジャミングやDoS(Denial of Service)アタックに相当する異常通信が混入した場合に、解析により分離が可能であるか論理検討を行い、時系列送信ログの情報から異常通信に相当するジャミング・サイバ連携攻撃の検出が可能である見込みを得た. 以上、ネットワーク動作推定方式の基本アルゴリズム開発と、時系列送信ログを用いる方法の有効性確認、シミュレーション実験環境の整備による成果を達成した.引き続き、「安全に協調型自動運転を継続する攻撃回避方式開発」実現する研究を推進する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「協調型自動運転システムに対する無線通信固有攻撃リスク分析」として、無線通信固有の威嚇であるジャミング・サイバ連携攻撃の分析を行った.しかし、協調型自動運転に関する技術開発や走行実験等の動きが活発であり、本研究に関連する情報が予想以上に多い事が分かった.このためリスク分析は、2018年度も継続する.「ネットワーク・シミュレータによる時系列送信ログの作成」として、ネットワーク構成、アプリケーション・トラフィックを変化させて通信状況を模擬するシミュレーション実験環境を整備した.本シミュレーション環境を用いる事により、検討と評価を繰り返しながら行うネットワーク動作推定方式の検討を効率よく進める事が可能となった.「ネットワーク動作推定方式の検討」として、無線通信端末の時系列送信ログの比較や傾向追跡から、アドホックネットワークの基本動作である通信ルート、ルーティング方式種別、複数通信の衝突時間を推定するネットワーク動作推定方式を開発した.シミュレーション実験環境を用いて、無線通信端末のメッシュ型配置やリニア型配置、さらに無線通信端末が静止した場合、移動を伴う場合等、様々な通信状況を想定した推定実験により、開発したネットワーク動作推定方式の有効性を確認した(学会発表1件).また多重化トラフィックに対してジャミングやDoS(Denial of Service)アタック等の攻撃により混入される異常通信を分離する解析方法の検討から、今後の時系列送信ログからジャミング・サイバ連携攻撃を分離検出する可能性を検討した(学会発表1件). 以上、リスク分析に関しては継続検討するが、2017年度は計画した「協調型自動運転システムを安全に継続することを明らかにする」という本研究の目的に向けた基本検討と実験準備を達成した事から、本研究は、おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度はネットワーク動作推定方式の基本アルゴリズムを開発し、通信経路やルーティング方式種別等のアドホックネットワーク基本動作の推定の成功を確認した.今後はサイバー・ジャミング連携攻撃防御を実現する検討を、以下の方策にて推進する. 2018年度は、3つの方策から研究を推進する.①無線通信固有のサイバー・ジャミング連携型攻撃が自律型自動運転に与えるリスク分析を継続して、攻撃モデルを定義する.②ネットワーク動作推定方式の拡張検討のために、シミュレーション実験環境の一部、見直し、及び解析方法の検討を効率よく進める時系列送信ログ解析ツールを整備する.③ ネットワーク動作推定方式による推定精度向上と推定項目の拡大を検討する.さらにネットワーク動作推定からジャミング・サイバ連携攻撃検出のためのネットワーク動作推定方式拡張を検討する. 2019年度は、2つの方策から研究を推進する。①サイバー・ジャミング連携型攻撃の検出と回避を実現するネットワーク動作推定方式の拡張を検討する.②ネットワーク・シミュレーション実験環境を用いて、自律型自動運転システムでのリスク分析から定義した攻撃モデルに対する、ネットワーク動作推定方式によるジャミング・サイバ連携攻撃検出と回避への効果を検証する. 以上の計画による研究から、最終的に無線通信固有攻撃を回避して安全な自律型自動運転の維持が可能なジャミング・サイバ連携攻撃回避技術の確率に向けた研究を推進する.
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Causes of Carryover |
2017年度は、文献や学会発表状況からジャミング・サイバ連携攻撃の動向を調査分析した.しかし、自律型自動運転に対するリスク分析は、この1年で予想以上に多くの実証実験等の取組が開始された事から情報整理に時間を取られ、実際の調査に注力できず、十分なリスク分析ができなかった.また、予定したネットワーク動作推定の基本アルゴリズムに関する学会発表の一部が、2018年度7月に持ち越された事から、予定した使用額との間に差異が生じた. 2018年度は、実践的な研究成果を目指して、自律型自動運転に関するリスク分析を当初予定よりも強化して調査、検討を行うとともに、予定していた学会発表を行う計画にて予算額を消化する.
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Research Products
(2 results)