2017 Fiscal Year Research-status Report
携帯型端末画面と実環境の間の注意配分測定と背景引き込み効果の実証
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17K00200
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 ひろみ 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00359580)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視覚認知 / 特徴統合 / 視覚運動連合学習 / 刺激反応マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
日常生活の中で,周囲から切り離された小さな携帯型端末画面の情報に注目するというのは,これまで人間が経験することの無かった特殊な視覚環境である.この視覚情報処理の特性を解明するため,画面上における情報処理と周囲の実環境への注意との相互作用を検証し,新たな環境へのよりよい適応を目指し問題点の解決方法を提案することがこの研究の目的である. 1年目に当たる29年度は,大画面タッチパネル液晶ディスプレイを用いて携帯型端末使用中の端末画面と周辺の視環境を模擬し,視覚的注意の広がりを測定する予定であった.しかしそれ以前に,携帯型端末画面上の表示画像の見方に関する知見が十分とは言えないため,画像のスクロール表示等に関する視覚心理実験を行い,視覚特徴の結合知覚や記憶に関する研究成果を得た. 具体的に次のことが示された.1)画面上に提示されたオブジェクトの様々な属性を知覚して適切な反応を行うことを学習するプロセスが,色や形などの物体認知に関わる属性と位置や動きなどの空間属性で異なること,2)端末画面上で複数の画像を素早くスクロールして観察するときのターゲットの認知特性について,文字情報と画像情報では異なること. これを踏まえて,携帯型端末画面における情報収集時の周辺環境への注意の広がりに関する実験を今後実施していくため,大型タッチパネル液晶ディスプレイを購入し,現在実験プログラム開発中であり,準備が出来次第,実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に当たる29年度は,大画面タッチパネル液晶ディスプレイを用いて携帯型端末使用中の端末画面と周辺の視環境を模擬し,視覚的注意の広がりを測定する予定であったが,現在準備中であり,30年度に実験を実施する予定である.理由は,携帯型端末画面上の文章や画像の見方に関する知見が十分得られているとは言えない現状を踏まえ,それらの見方を研究することを優先させたためである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究1:29年度に得られた成果を踏まえ,30年度は携帯型端末画面における情報収集時の周辺環境への注意の広がりに関する実験を実施する.大型タッチパネル液晶ディスプレイを購入し,現在実験プログラム開発中である.準備が出来次第実施する予定である. さらに,実環境を画面内背景に引き込む条件を実現し,その状況で周辺への注意の広がり方と画面内の情報収集の効率を調べ,この方法の効果を検証する. 研究2:実環境を画面内背景に引き込むことにより,画面の枠を単なる遮蔽物として知覚させ,それによりその後ろで実環境が非感性的に補完され,注意が画面の枠に留められず周囲に広がりやすくなるかどうかを検証する.背景刺激として,壁のような一様刺激,静止パターン刺激,動画パターン刺激を用意し,それぞれの条件で調べる.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:65型タッチパネル内蔵大画面液晶ディスプレイが当初予定したよりも安い価格で購入できた. 翌年度の助成金とあわせた使用計画:当初29年度に実施する予定であった実験を30年度に回したため,その被験者謝金と補助者の人件費に当てる.
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