2020 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement of attention distribution over the screen of a mobile information device and surrounding real world and verification of background insertion effect
Project/Area Number |
17K00200
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 ひろみ 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00359580)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 携帯端末 / スクロール / 読み / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
日常生活の中で,周囲から切り離された小さな携帯型端末画面の情報に注目するというのは,最近まで人間が経験することのなかった特殊な認知活動である.このような視覚情報処理の特性を解明するため,視野中心部で認知的課題を行っている最中の視野周辺部における刺激検出感度を調べることが本研究の目的である. そのために,スマートフォンなどの携帯型端末で良く行われるスクロール文章の読みを視野中心における課題として行っているときに,周辺にランダムなタイミングで光点を提示し,その検出率を測定した.その結果,端末画面近傍及びある程度離れた点で検出率が低下することがわかった.また,特に上方向において検出率の低下が著しいことが明らかになった.ただし,これらの検出率の変化は,昨年度に行った,視野中心においてサイン波縞がスクロールし,その中から幅の異なる縞を検出するという視覚的な課題でも見られたことから,スクロール文章の読みに特有の現象とは言えない.縦方向にスクロールする刺激の視覚的あるいは認知的課題に関連した処理により生じる現象と言える. 一方で,視野中心部においてスクロール文章の読み課題を与えた場合に特有の影響として,左側の視野で検出率が高くなる傾向が見られた.先行研究で読みの有効視野が右方向に広がることが知られているが,読みにより左視野において刺激検出率が向上することはこれまでに知られていない.行替えの際に左視野に広く注意を向けることと関係があるのではないかと考えられる. 以上の結果は,スマートフォン使用中に近づいてくる人や近接する対象に気づくのが遅れることを意味している.この結果は,「歩きスマホ」問題と言われるような,端末画面上の情報処理に集中することにより衝突事故が起きやすいことの原因として,スクロール文章を読んだりスクロール画像を観察したりする最中の視覚特性を明らかにした点で意義がある.
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Research Products
(4 results)