2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative cognitive studies in the zoo
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17K00204
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Research Institution | Kyoto City Zoo |
Principal Investigator |
田中 正之 京都市動物園, 生き物・学び・研究センター, 生き物・学び・研究センター長 (80280775)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニシゴリラ / 動物園 / 比較認知科学 / 系列学習 / 作業記憶 / チンパンジー / マンドリル / テナガザル |
Outline of Annual Research Achievements |
京都市動物園で長期継続研究としておこなっている、飼育下霊長類(チンパンジー、ニシゴリラ、シロテテナガザル、マンドリル)を対象とした、タッチモニターを使った認知課題を2019年度も継続した。京都市動物園を国内で唯一のゴリラの比較認知研究拠点とすべく、飼育されている4個体(オス19歳、メス33歳、子どもオス8歳、赤ん坊オス1歳)が、誰でもアクセスできる環境に置いたタッチモニター装置のある飼育環境で日々を過ごしている。 2018年6月生まれのチンパンジーと12月生まれのニシゴリラでは、1歳前後から課題に対する興味を示し、自発的なタッチモニターへの反応が見られた。これらの認知発達傾向は、2011年に生まれたニシゴリラ、12年に生まれたチンパンジーと同様であり、前回の結果が補強された。赤ん坊たちはまだ画面に触り始めた段階だが、今後も家族を対象として研究を続ける中で、課題を習得していくことが期待できる。 ニシゴリラ以外にも、テナガザルでは11年、チンパンジーでも10年にわたって、アラビア数字の順序を学習する課題を継続している。テナガザルでは37歳、チンパンジーでは42歳になる中高年個体が含まれるが、加齢によるパフォーマンス低下は見られていない。33歳になるニシゴリラ、20歳になるマンドリルのメス個体でも課題参加は継続しているものの、開始時年齢が高い両個体では課題習得に時間がかかっており、顕著な年齢効果が見られる。 成果の公表に関しては、京都大学で開催した第14回国際環境エンリッチメントにおいて、数多くの研究発表を行った。さらに、これら京都市動物園でおこなっている研究成果の一部は、2020年3月に発表した、編著書「いのちをつなぐ動物園 ~生まれてから死ぬまで,動物の暮らしをサポートする~」において公表した。また、日々の研究は動物園という環境の特性を活かして、常に公開で行っている。
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Research Products
(10 results)