2019 Fiscal Year Research-status Report
Study for Informal Learning Environment though an Ethnographic Study of Amateur Creative Activities
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17K00213
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岡部 大介 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (40345468)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日常 / 趣味 / フィールドワーク / 創作 / 創造性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実績は、次の3点にまとめられる。 (1)認知科学において、日常的なカスタマイズ、改変、または自作を通した創作活動が,創造性研究の俎上にのせられている。また、認知科学において、家の中における活動が対象とされるようになって久しい。2019年度までのフィールドワーク、およびインタビューと観察調査を通して、家の中における日常的な(小さな)創作活動が、どのような環境のもと行われているかを分析し、『認知科学』に投稿し採録された。具体的には、創作活動が、一見(創作活動とは)関係なく見える、家族や様々な人工物・メディアとの小刻みなインタラクションを通して進行する様を記述した。この分析を通して、家の中の諸活動に創作活動を並置していくことと、趣味的な活動の継続について考察できた。 (2)創造的活動のひとつとして、音楽大学の学生やミュージシャンの楽曲制作を対象としてとりあげてフィールドワークをおこなった。具体的には、新しい技術(自動作曲システム)がいかに彼ら彼女らの創作活動を再構成するかを分析した。その結果、新しい技術とともに制作にあたることで自身の創作行為の省察が生じるとともに、それまで学んできた音楽理論や技術をとらえなおす学習のコンテクストに参与することが示された。 (3)市民工房ファブラボにおける創造的な活動に関するこれまでの知見をふまえて、工作機械を用いた創作活動に日常的にふれる機会の少ない高校生を対象に、ものづくりを通した学習環境をデザインした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、創造的な製作をより幅広く楽しめる学習環境デザインの特徴をまとめることを目標に掲げてている。2019年度、非商業的に(趣味の活動として)創作活動に従事していたり、商業的活動と非商業的活動のハイブリッドとして創造的な活動を行ったりしている人びとを対象に、参与観察やインタビューを実施してきた。2019年度、木工を中心としたものづくりとコミュニティとのつながりが新たに形成され、調査を開始した。追加調査のため、2020年度まで研究期間を延長した。2020年2月以降は人同士の接触ができずにおり、2019年度に計画していた観察は保留となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度までの調査を経て、趣味のものづくり活動のデータをもとに分析を進める。2019年度に得た新たな木工を中心としたものづくりコミュニティとのネットワークに関しては、オンラインでインタビューを行い、追加データを得ることを計画する。新たなネットワークにおける参与観察を中心としたフィールドワークは(感染リスクをさげるために)実施しない。その上で、日常生活における創造的な活動に従事する人びとを対象としたこれまでのデータをもとに、学術論文と書籍の執筆、投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
インフォマントへの謝金が2020年度にも必要となったこと、および逐語録作成、相互行為分析用映像データコーディング、分析補助のアルバイト費用を2020年度に支出する必要が生じたため。 2020年度は、データ保存用のハードディスクや分析用コンピュータを2台を追加購入する必要がある。また研究成果の発表、および研究進捗にかかわる外部の研究者とのデータセッションも予定されており、それらの費用にあてる計画である。
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