2019 Fiscal Year Annual Research Report
Functional role of the frontal lobe with "brain timer"
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17K00216
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
生塩 研一 近畿大学, 医学部, 講師 (30296751)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 前頭葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が1秒や2秒という時間の長さを区別できるのは、ストップウォッチのように時間を計る機能が脳にあるからに他ならない。本研究はそのメカニズムの一端を解明するために取り組んだ。時間は視覚や聴覚といった刺激の感覚種に依存しないが、先行研究では視覚刺激のみや聴覚刺激のみといった特定の感覚種を実験に使うことがほとんどであった。申請者は2019年度、感覚種によらない時間長の情報処理を調べるため、視覚と聴覚の両方を使った実験に取り組んだ。実験に使った時間長は、0.2秒、0.6秒、1.0秒の3パターン。これを視覚刺激か聴覚刺激でサルに提示した。サルに2つの時間長を続けて提示したのち、長い方を選択させた。課題遂行中の内側運動前野と前頭前野(どちらも前頭葉にある脳領野)のニューロン活動をユニットレコーディングで記録したところ、いずれの脳領野でも感覚種に依存せず時間長の情報をコードしたニューロンが見つかった。各領野の役割の相違については、今後の詳細な解析が必要である。また、脳内に時間を計る中枢があるとすると、感覚刺激で提示される時間長を計るときと、外界からの感覚刺激がなく脳内で時間を生成するときとで、その中枢のニューロンが情報処理に共通して関わっているはずである。そのことを調べる実験を行った。実験に使った時間長は、0.8秒、1.6秒、3.2秒の3パターン。まず、そのいずれかの時間長を緑色の四角形で提示した(時間長計測)。続いて、赤い四角形が提示され、決まった時間が経過した時にボタンを離すと報酬としてジュースを与えた(時間長生成)。時間長計測で0.8秒、1.6秒、3.2秒のそれぞれに対して、時間長生成は3.2秒、1.6秒、0.8秒とした。まだデータが取れ始めたところだが、時間長計測と時間長生成の両方で課題依存の反応を示すニューロンが前頭前野で見つかった。研究成果は、学会発表として2件行った。
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