2019 Fiscal Year Research-status Report
Sense of agency after exposure to delayed sensory feedback: How does it covary with the change in perception of synchrony?
Project/Area Number |
17K00218
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
菅野 禎盛 九州産業大学, 商学部, 教授 (90352103)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 行為主体感 / 順応 / 時間知覚 / 感覚運動協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
人と機械の相互作用においては感覚フィードバックの遅延が行為主体感(sense of agency: SoA)を大きく阻害する。一方、遅延をしばらく経験すると順応により遅延が実際より小さく感じられることが知られている(同時性知覚の再較正、temporal recalibration: TR)。本研究では、TRによってSoAがどのように変化するのかを心理物理実験により明らかにすることを目的とした。
平成31年度/令和元年度は、当初、遅延視覚フィードバックへの順応に関しても同様の知見が得られるかを実験的に検証する予定であった。しかし、動きのある視覚刺激を用いて予備的な検討を行った結果、課題の難易度が依然として高く、期待されるデータを得られる見込みが低いことが判明した。そのため、平成30年度までに蓄積した遅延聴覚フィードバックのデータに対してさらなる分析を進める方向に計画を変更した。
主体感に関する二値判断データを聴覚フィードバックの遅延量に対して非線形回帰して「主体感の時間窓」(temporal window of agency: TWA)の推定曲線を得た。同様に、行為とフィードバックの同時性に関する二値判断データを聴覚フィードバックの遅延量に対して非線形回帰して「同時性の時間窓」(temporal window of simultaneity: TWS)の推定曲線を得た。TWAとTWSが遅延聴覚フィードバックへの順応によってどのように変化したかを分析した結果、TWAの変化はTWSと比べて小さいことが示された。このことは、同時性知覚(TWS)が変化しても行為主体感(TWA)が影響を受けにくくなるように調整するメカニズムが働いていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施する予定であった実験を省略し、研究期間の延長申請を行った結果、当初予定していた理論的検討を行う段階に進むことができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまでの結果をSynofzikらが提唱している行為主体感の二段階モデル(Synofzik et al., 2008)とMooreらが提唱しているによるベイジアン手がかり統合理論 (Moore & Fretcher, 2012)の2つの理論的枠組みを組み合わせることで説明することを試み、学術論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
国際学術雑誌(オープンアクセス)への論文投稿料および公表費、英文校閲、学会等成果発表、などで使用する計画である。
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