2020 Fiscal Year Research-status Report
Sense of agency after exposure to delayed sensory feedback: How does it covary with the change in perception of synchrony?
Project/Area Number |
17K00218
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
菅野 禎盛 九州産業大学, 商学部, 教授 (90352103)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 行為主体感 / 順応 / 時間知覚 / 感覚運動協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
人と機械の相互作用においては感覚フィードバックの遅延が行為主体感(sense of agency: SoA)を大きく阻害する。一方、遅延をしばらく経験すると順応により遅延が実際より小さく感じられることが知られている(同時性知覚の再較正、temporal recalibration: TR)。本研究では、TRによってSoAがどのように変化するのかを心理物理実験により明らかにすることを目的とした。
平成31年度/令和元年度は、当初、遅延視覚フィードバックへの順応に関しても同様の知見が得られるかを実験的に検証する予定であった。しかし、動きのある視覚刺激を用いて予備的な検討を行った結果、課題の難易度が依然として高く、期待されるデータを得られる見込みが低いことが判明した。そのため、平成30年度までに蓄積した遅延聴覚フィードバックのデータに対してさらなる分析を進める方向に計画を変更した。
令和2年度は、令和元年度までの研究結果を学術論文にまとめて7月にFrontiers誌に投稿した。この論文は査読を経て2021年3月1日付で受理された。論文では、実験で得られた、遅延聴覚フィードバックへの順応後に同時性知覚の時間窓(TWS)は変化するが行為主体感(TWA)は影響を受けにくいという知見を、Synofzikらが提唱している行為主体感の二段階モデル(Synofzik et al., 2008)とMooreらが提唱しているによるベイジアン手がかり統合理論 (Moore & Fretcher, 2012)の2つの理論的枠組みを組み合わせることで説明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた理論的検討を行う段階に進み、学術論文としてまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、前報で検討しきれなかった要因(課題の難易度や教示文脈が結果に及ぼす影響)についての実験をオンラインで実施しつつ、現象の理論的考察をさらに深め、論文にまとめることを予定している。4月現在、対面実験で使用したプログラムをオンライン実験用に描き直し、実験手順をオンライン実験に適したかたちに修正する作業を行っている。今後の予定としては、6月までに実験の準備を完了し、7月~9月にかけてオンライン実験を実施する見込みである。10月以降はデータを分析しつつ成果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、当初予定していた国際学会が延期になり、国内学会がオンライン開催されたために旅費の支出が無かったため。
オンライン実験の実施に伴う業務委託費、オンライン実験の実施に必要なソフトウェアライセンスおよび機材の購入、文献購入費、英文論文投稿のための英文校閲、学会等成果発表、などで使用する計画である。
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