2017 Fiscal Year Research-status Report
スポット伝達用2ビームステアリング式パラメトリックスピーカの開発
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17K00222
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
永田 仁史 岩手大学, 理工学部, 教授 (40301030)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パラメトリックスピーカ / ランダム素子配置 / 2ビーム方式 / ステアリングビーム / 周波数領域処理 / ステレオカメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
カメラ画像上の指示位置に2台のステアリング機能付きパラメトリックスピーカの焦点を移動させるシステム構築のため、ステレオカメラの画像に基づいた3次元位置計算プログラム、及び、3台のPCを連携させるための処理について開発を行った。複数PCの連携処理についてはMPIを用いた並列システムを開発し動作することを確認したが、画像上の指示位置計算については、チェッカーボードを用いた場合には動作しても一般の室内風景についてはステレオマッチングの精度によると思われる問題があり、開発を継続中である。 一方、当初は既存の1台のパラメトリックスピーカに加えてもう1台全く同じ設計の64chスピーカを開発する予定であったが、疎なランダム素子配置に起因すると思われる高周波数域のパワー低下が見られることがわかったため、高効率を狙ってより密なランダム素子配置について検討してから2台目を作成することとした。追加システムに必要な多チャネルD/A装置とホストPCは既に購入済みである。 また、周波数領域処理に基づいた省演算量のステアリング処理付きスピーカ駆動信号生成システムについて論文投稿し、論文誌への掲載が決まった(「周波数領域処理を用いたパラメトリックスピーカ駆動システム」電子情報通信学会論文誌H30年6月号)。さらに、H29年10月の"The 38th Symposium on UltraSonic Electronics (USE2017)"、および、H29年5月の電子情報通信学会超音波研究会においてランダム素子配置パラメトリックスピーカについて研究発表し、また、H30年3月の日本音響学会春季研究発表会においてパラメトリックスピーカによる空間センシングについて研究発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、1年目のH29年度は2台目のスピーカシステムを作成予定だったが、超音波素子配置の再検討が必要であることがわかったためH30年度に開発することとした。必要な機器の購入は完了している。その代わり、H30年度以降に予定していたカメラ画像に基づく照射位置指示システムに関する基礎検討をH29年度に前倒ししたため、進捗という意味では相殺されておおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、まず、2台目のランダム配置パラメトリックスピーカとその駆動システムを作成し、その後に照射位置指示システムの作成を考えていたが、H29年度の検討によってどちらも当初見えなかった問題点が出てきたため、両者を並行して推進した方がよいと思われる。そこで、H30年度は2台目のランダム配置パラメトリックスピーカとその駆動システムを作成するが、並行して照射位置指示システムのための画像処理についても検討する。 照射位置指示システムの開発では、ステレオカメラ画像からの3次元位置推定の際、既存の方法だと2つの画像中の同じ場所の画素を特定するステレオマッチングの精度に問題が出た。このシステムの場合は全画素ではなく、照射位置のみのマッチングが必要なだけであるので、まずは手動で両画像中の正解マッチング位置を与えるシステムとし、その後自動で照射位置周囲の画像を用いてステレオマッチングを行うように改良してゆくこととする。 また、2台目のスピーカの超音波素子位置の計算については、これまでに用いたランダムに位置を生成して選択するだけでは、素子配置範囲の半径が小さくなるにつれて素子の重なる機会が増加して棄却される配置候補が増え、計算時間が非常に長くかかるようになったため、コスト関数に素子の重なりを考慮したペナルティー関数を用いるなどの修正を施した最適化手法を検討する予定である。
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