2017 Fiscal Year Research-status Report
Multimodal and Multidimensional Pattern Understanding based Object Oriented Data Analysis
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17K00226
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
井宮 淳 千葉大学, 統合情報センター, 教授 (10176505)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多重線形型式 / 模型規範型情報処理 / 主成分分析 / 情報圧縮 / 空間形状解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベクトル空間における主成分分析では、最適化関数J(U)=f([X]:U)+λg(U)を停留化し、主成分を記述する直交行列である主成分行列U を計算する。ここで、g(U)はUに関する制約条件である。このとき、停留値Uがデータ集合[X]の決める自己対称行列の固有行列になる。したがって、特異値分解の算法を利用して容易に主成分を計算することが可能となる。一方、3次元テンソルの主成分を、Tucker-3 分解に基づいて計算する場合には、最適化関数J(U,V,W)=f([X]:U,V,W)+λg(U)+λg(V)+λg(W)を最適化し、テンソルの主成分を決める3つの主成分行列 U,V,Wを計算する必要がある。しかし、f([X]:U,V,W)がU,V,Wに関する3重線形型式であるため、上式の停留値を与える主成分行列U,V,Wは、ベクトルの主成分解析の場合と異なり、それぞれが、自己対称行列の固有値問題とはならない。関数J(U,V,W)を最適化する従来の方法は、U,V,Wを周期的に順次繰り返し最小化する反復法が利用される[5,9]。そこで、データ集合[X]から、テンソル主成分を決める行列U,V,Wを直接計算する緩和法を導き、計算が簡便で近似精度の高いテンソル主成分分析法を構築した。大量データの高速分類や、入力と大量の辞書データとの高速照合・高速検索の実現には、概略データを使って事前大分類を行うことが効率的である。概略情報は情報圧縮を行って構成される。臓器などの形状情報の概略情報は概略形状と呼ばれる。主成分分析の結果を利用して、概略形状の計算法と近似の精度について理論解析と数値解析を行い、有効な圧縮法を構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.適切な初期値を設定すると、反復解法の1回目で十分に精度の高い主成分が計算されることが知られている。そこで、データ集合[X]の性質から、適切な初期値を構成する手法を、データ集合[X]の決めるテンソルから推定する手法を考案した。 2.信号のパターン認識では、離散コサイン変換行列がデータ集合[X]の主成分行列を精度よく近似することが知られている[15]。この性質の3次元テンソルで表されるデータへの適用可能性を、情報理論と数値精度の両面から検討した。 また、通常の商用カメラで撮像される画像はRGBの3チャンネルであり、近年は、3次元空間の画像理解において、さらにカメラから対象までの深度を加えたRGB-Dの4チャンネル画像も利用される。これら画像の決める多次元配列データを表現するテンソルは、特定の方向の層数の小さいテンソルとなる。このような薄いテンソルは、各方向に均質な層数のテンソルと異なる処理が必要となる。そこで、薄いテンソルに対して、上の2点を適用し、薄いテンソルのためのテンソル主成分法を合わせて確立する。
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Strategy for Future Research Activity |
線形なパターン認識理論では、主成分分析によってデータ集合として計算され線形部分空間を辞書として利用し認識・分類を行う。旧来の部分空間法によるパターン認識の手法を発見科学に適用するためには、辞書となる線形部分空間を計測データの性質に合わせて適宜更新する必要がある。ベクトル主成分分析では、すでに、ヘビアン学習則[12,13]に基づき、主成分を入力に合わせて更新する算法が提案されている。そこで、以下の点を中心に、逐次更新型のテンソル主成分法を構築する。 1.ヘビアン学習則のテンソル入力への拡張。 2.辞書要素として利用する線形部分空間の最適次元の推定法の確立。 3.過学習を防ぎながら、辞書を更新する入力選択の解明。 また、ヘビアン学習則は通常、学習成果の改良を実現する。一方、集団の病歴変化等の場合には、過去の情報の蓄積だけでなく、最新の情報による辞書データの更新も必要となる。そこで、忘却を考慮した、テンソルで表現された辞書データの更新法を合わせて構築する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、現有の計算資源を利用して理論解析に対する数値計算による実証実験を遂行することができた。この計算規模を拡大するために、30年ででは、計算機能の拡張を予定している。そのため、30年度に予定している、成果の国際発表等に関して予算を回すため、30年度には当初予定額より多い予算が発生した。
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