2017 Fiscal Year Research-status Report
Information hiding in geometric patterns and its application to fabric authentication
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17K00248
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 浩 日本大学, 生産工学部, 教授 (10514151)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドラゴン曲線 / こうもり曲線 / 情報源符号化 / 情報秘匿 / 真性性証明 / 織布 / 幾何学模様 / 繊維 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1である幾何学模様で伝達できる情報量に関して、こうもり曲線とドラゴン曲線について検討を行った。これらの曲線はいずれも240度または90度の方向に折れ曲がりながら、平面を埋め尽くす曲線である。検討の結果、以下の成果が得られた。1)これらの曲線において、その輪郭の形状を一定としたまま、曲線の経路(一筆書きの書き順)を変えることにより、曲線に自由度が生じ、情報を付与することが可能であることがわかった。2)8次のドラゴン曲線には1億通り以上の書き順があり、26ビットの情報を伝達できることを明らかにした。3)情報と曲線の間の変換を行う符号化、復号のアルゴリズムを開発した。4)カメラで撮影した画像から曲線をたどり、情報を復号するプログラムを開発した。このプログラムは曲線を辿りその距離と曲線の接線方向の関係を求め、これに適当な低域通過フィルタを施した後、曲率の変化点を求めることで曲線をビット系列に変換するものである。ドラゴン曲線に関する成果は、電子情報通信学会の全国大会で公表した。 課題2である織布の認証については、以下の成果が得られた。1)縦糸と横糸の重なり具合を自動検出する方法の文献調査を行い、フーリエ変換等の手法が存在することを確認した、2)織布を製作するための装置について調査し、次年度に織布を試作するための機器の候補を抽出した。3)当初想定していたMFI法(光を複数方向からあてて物体の輪郭を抽出する手法)の評価を行い、糸の重なりパターンを検出することが想像以上に困難であることがわかった。これは、対象物に一様な強度の光を当てることが難しく、簡単な手法により3次元的に重なる糸の形状を計算することが困難なこと、糸そのものが滑らかな物質でなく、表面に多くのほつれが存在することなどに起因する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
こうもり曲線とドラゴン曲線については、輪郭の形状を変えないという制約の下で、経路のとり方に自由度を与えるという手法を基礎として、情報と模様を結びつける方法を開発し、与えられた模様に対して、付与可能な情報量を計算することができた。したがって、課題1である「幾何学模様の情報量の計算」については目標を達成したと言える。課題2である織物識別技術の開発については、パターンの解析手法の基本的な評価においては、満足できる結果が得られなかったものの、他の幾つかの手法を候補として抽出することができた。また、実際の織物の試作準備として、織機の調査を行い、予算の範囲内で試作が可能であることの確信が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1については、ペンローズ模様と呼ばれる平面充填模様の情報量を計算する予定である。この模様は基本図形のタイリングによって平面を埋め尽くすものであり、ドラゴン曲線のように曲線上の点が平面を埋める模様とは根本的に異なるため、新たなアプローチが必要である。今年度の調査により、この模様には、タイルに隙間や重複がないように配置するときに、インフレーション(拡張)という規則性が生じるので、この拡張のパターンに自由度を与えることにより、情報を付与できる可能性がある。今後は、この可能性について検証を行って、伝達できる情報量を求めるとともに、符号化・復号の手法を開発する予定である。課題2については、繊維の重なりの不規則を検出する手法を検討し、そのパターンから埋め込まれた情報を検出する手法を開発する。また、実際に織機を用いて、情報を付与した織布の試作を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、研究成果を公表した学会が近地で行われたために生じた。この金額は次年度の物品費と人件費に充当する。
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Research Products
(1 results)