2019 Fiscal Year Research-status Report
A new estimation algorithm of visual salient region for color vision deficiency
Project/Area Number |
17K00249
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
目黒 光彦 日本大学, 生産工学部, 准教授 (20323884)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 色覚バリアフリー / 色覚異常 / 色盲 / 色弱 / 誘目領域推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度,平成30年度に引き続き,二色型色覚を有するユーザ個人の異なる色の色覚認知の度合いを測定するシステムの構築を目指した.ユーザ個人によって色覚異常の想定されるモデルが異なるために,それぞれに対して,どの色覚モデルであるか,また,その度合いを検証するモデル,及び,ユーザごとに対応した反対色モデルを構築,検証することであった.三タイプある二色型色覚の型のうち,二タイプを,コンピュータのディスプレイ上で表示させ,目視することにより測る心理学実験の手順の確認を行った。 そこで,Farnsworth D15 testとして知られる,16色の色のキャップを実験協力者に色相順に並べ替えさせ,その並べられた順番を基に,色覚の型とその度合いを判定する方法もある.これをコンピュータ上で実施し,かつ,色覚特性の型と度合いを自動判定する手法として,Vingrysらにより提案されているスコア値算出法がある.研究代表者らも,Vingrysらの手法を実際にコンピュータ上で実現させ,色覚特性の型と,色盲者,色弱者,色覚正常者の分類を行うことに成功している. しかしながら,色弱者の度合いをVingrysらの手法により測定することは,困難であることが分かった. 令和元年度においては,色弱者の色弱の度合いを判定するためのシステム構築を行った.色弱者は,色覚正常者と色盲者の間の見え方をしている.この間の位置こそ,色弱者の度合いに相当する.色弱者の色弱度合いを測るために,色覚正常者には異なる色と認識され,かつ,特定の度合いの色弱者では色の混同を生じさせる色の組み合わせのパッチをコンピュータのディスプレイ上に表示させる.本手法では,あらかじめ,異なる度合いの色弱者用の色混同色を表示させる表を作成しておく.これをとある度合いの色弱者に見せることにより,色混同を生じ始めた色弱度合いを判定できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の現在までの,進捗状況について報告する.平成29年度,平成30年度までは,Farnsworth D15 testとして知られる,16色の色のキャップを実験協力者に色相順に並べ替えさせ,その並べられた順番を基に,色覚の型とその度合いを判定する方法をコンピュータ上で実施した.色覚特性の型と度合いを自動判定する手法として,Vingrysらにより提案されているスコア値算出法を用いて検証を行った.研究代表者らも,Vingrysらの手法を実際にコンピュータ上で実現させ,色覚特性の型と,色盲者,色弱者,色覚正常者の分類を行うことに成功している. しかしながら,色弱者の度合いをVingrysらの手法により測定することは,困難であることが分かった. そこで令和元年度においては,色弱者の色弱の度合いを判定するためのシステム構築を行った.色弱者は,色覚正常者と色盲者の間の見え方をしている.この間の位置こそ,色弱者の度合いに相当する.色弱者の色弱度合いを測るために,色覚正常者には異なる色と認識され,かつ,特定の度合いの色弱者では色の混同を生じさせる色の組み合わせのパッチをコンピュータのディスプレイ上に表示させる.本手法では,あらかじめ,異なる度合いの色弱者用の色混同色を表示させる表を作成しておく.これをとある度合いの色弱者に見せることにより,色混同を生じ始めた色弱度合いを判定できることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,平成30年度,令和元年度に研究予定であったものの,実験に着手できなかった,ユーザごとに異なると考えられる色覚異常の型と度合いに合わせた,色覚モデルの考案と検証を進める。次に,Fansworth D15テストにおけるVingrysらの手法においても,色覚異常の強度を定量化したC-indexがある.これを今までは,色盲,色弱の判定にのみ用いていたが,パッチ判定による色弁別閾値の結果と,実際の色弱者の実験協力者におけるC-index値の比較を行うことで,色覚異常の強弱の度合いの判定精度の向上を目指す。 さらに,これらの結果を踏まえたうえで,新たな反対色モデルの考案と検証を目指す。最も歴史のある色覚モデルとして,Young-Helmholtzの三色説がある。人の色を感知する視細胞として,青系統の光を感知するS錐体,緑系統の光を感知するM錐体,赤系統の光を感知するL錐体細胞が網膜上に存在している。SML錐体細胞の反応値のみで色覚が出来上がっていない。つまり,三色説における黄色は,赤と緑の混色であると説明されているものの,L錐体の有していない二色型色覚者が黄色を認識可能可能である事実から,三色説のみでは,色覚を表現するモデルとして完全でないとしている。色覚分野における知覚現象は,三色説メカニズムによる反応の後,Heringの反対色説による反応がなされている。反対色説の機構も加えた色覚モデルを仮定し,そのモデルを用いた新しいサリエンシーモデルの構築と,実際の実験による検証を進めたい.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,2点あります.1点目は,そもそも研究の進度が遅れたことです.1年目に色覚異常者の色覚の型と度合いを測定し終える.2年目に得られた測定結果を基に色覚のモデル化をする.3年目に,得られた色覚モデルを用いた誘目度の数理モデルの提案とその検証に,心理学実験を行う予定であった.1年目に終える予定の研究が3年かかってしまった.1年目の進捗の遅れによって,心理学実験を行うための予算計画をしていたものの,心理学実験まで行うことができなかったことが原因である.2点目の原因として,現状で得られていた結果により国際会議等への投稿も検討に上がっていたものの,新型コロナウィルスの影響により取りやめたこともある.この2点が次年度使用額が生じた理由である. 今後の使用計画としては,心理学実験に用いるキャリブレーション調整の可能なディスプレイの購入,心理学実験実施による謝金支弁,研究結果の公表を目的とした国内外学会への発表,及び論文投稿料として,使用する計画である.
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