2017 Fiscal Year Research-status Report
パラメトリックな変形耐性画像マッチングを用いた物体検出
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17K00250
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
若原 徹 法政大学, 情報科学部, 教授 (40339510)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 変形耐性 / 画像マッチング / 物体検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.変形耐性をパラメトリックに制御できる画像マッチング手法である、2枚の濃淡画像間での正規化相互相関値を最大化する射影変換(独立な8パラメータを含む)を決定するGPT相関法において、射影変換画像のノルム正規化を理論的に保証する計算モデルを定式化した。これにより、最適な射影変換成分への収束性が飛躍的に向上した。ただし、ノルム正規化を保証するためにかなり複雑な非線形最適化問題を扱うことになり、Newton-Raphson法を用いた反復解法を適用しているが、現状では計算手順が十分に簡明とは言えない。 2.GPT相関法を物体検出に適用するには「全体ー部分」マッチングの安定化が必須である。そのため、最適な射影変換成分を決定する目的関数の中に2枚の濃淡画像間での局所的特徴の類似性を重みとして導入し、新たな目的関数を定式化した。具体的には、局所的特徴として、特徴マッチングの研究分野で有用性が検証されている、各点の局所近傍領域での濃淡勾配方向の頻度分布であるHOG特徴(Histogram of Oriented Gradients)に着目した。本研究では特に、マッチングの安定性および計算量抑制の観点から、濃淡勾配方向を8方向に量子化して、出現頻度順に第一および第二の濃淡勾配方向ラベルの組み合わせのみを取り出して各点の局所的特徴とした。 3.上記1.および2.で提案した、ノルム正規化を保証しかつ各点の局所的特徴の類似性を重みとするGPT相関法を、物体検出の評価に良く用いられるGraffiti Datasetに適用して評価実験を行った。その結果、変形耐性を有する代表的な物体検出手法であるSURF-RANSAC手法を上回り、高い画像マッチングおよび物体検出精度が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ノルム正規化を保証しかつ画像の局所的特徴の類似性を重みとするGPT相関法を提案した。これにより、「全体ー部分」マッチングで射影変換に耐性のある物体検出手法を実現した。公開データGraffiti Datasetに適用した評価実験から、代表的な従来技術であるSURF-RANSAC手法を大きく上回る性能が得られることを確認した。当該研究成果を国際会議IPTA2017で発表し、大きな関心を集めた。 2.ノルム正規化を厳密に保証したため、正規化相互相関値を最大化する射影変換成分の決定には、かなり複雑な非線形最適化問題を解く必要がある。現状では、Newton-Raphson法の適用による反復解法を用いているが、計算手順が十分に簡明とは言えない。 3.物体検出では、被検出物体の画像内での射影変換を吸収するのみでなく、画像のボケや雑音重畳への十分な耐性が要請される。本研究で提案するGPT相関法は相関ベースの画像マッチング手法であり、従来主流である特徴点ベースのマッチング手法と比較して、画像のボケや雑音への耐性は高いと期待される。これを実証するためには、より大きなデータセットを用いて、特徴点ベースの最先端技術との比較で、射影変換、ボケ、雑音への耐性を評価する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ノルム正規化を理論的に保証するGPT相関法は複雑な非線形最適化問題ではあるため、妥当な近似法を複数考案して、線形解法の単純反復に基づくできるだけ簡便かつ精度を保証した計算モデルの検討を進める。これにより、GPT相関法を汎用的かつ利用しやすい変形耐性画像マッチングのツールとして社会に提供することを目指す。 2.「全体ー部分」マッチングでは、GPT相関法をマルチスケール窓探索法と組み合わせて用いることになる。このため、計算量の削減が必要である。まず、GPT相関法の素朴な定式化では、計算量が画素数の二乗のオーダーとなる。そこで、処理量の大半を占める画像の局所的特徴の重みづけによる2枚の濃淡画像間での濃淡値の積和演算において、テーブルルックアップで処理できる部分を分析・抽出する。これにより、計算量を画素数の一乗のオーダーまで削減することを目指す。また、マルチスケール窓探索法では、探索窓の大きさや移動の刻み幅の最適化を検討する。 3.物体検出における提案手法の有効性を示すため、射影変換、ボケ、雑音を含む各種の公開画像データに対する評価実験を行う。特に、従来技術での主流である特徴点ベースのマッチング手法に対する、相関ベースの画像マッチングである提案手法の優位性を示すことに力点を置く。
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Causes of Carryover |
(理由) 海外出張を予定していた国際会議発表がなくなったため、旅費に計上してあったものが未使用となった。 (使用計画) 研究加速のため、高性能なデスクトップワークステーションもしくはモバイルワークステーションの購入に充てる。
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