2019 Fiscal Year Annual Research Report
Spatial asymmetry in auditory spatial perception during self-motion
Project/Area Number |
17K00263
|
Research Institution | Aichi University of Technology |
Principal Investigator |
山高 正烈 (崔正烈) 愛知工科大学, 工学部, 准教授(移行) (60398097)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 渉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (30509089)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | バーチャルリアリティ / 音空間知覚 / 臨場感 / 自己運動 / ヒューマンインタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,自己運動知覚時に見られる物理空間と知覚空間との音像定位の「誤差」,即ち自己運動知覚時の聴知覚特性の様相を明らかにし,3次元聴覚ディスプレイの高度化に役立てるものである.平成31年度は,3次元聴覚ディスプレイの応用で想定する身体近傍空間の範囲と自己運動との関係,及び運動する聴覚刺激による自己運動知覚への影響という2点に着目し,研究を進めた. 我々の身体を取り囲む空間は,身体近傍空間と遠方空間に大別でき,身体近傍空間(peripersonal space, PPS)は,通常身体表面から数cmから数十cmの範囲の空間のことを指す.自己運動時には,このPPSが拡大するとの知見が示されているが,PPSに及ぼす自己運動速度の影響を検証した研究はない.そこで,自己運動速度の大きさとPPSの関係を明らかにするための検討を行った.その結果,静止時のPPSの境界は1.3mと1.95mとの間にあることが示された.自己運動時には,最大距離3.9mまで触覚検出促進効果が見られたが,運動速度によるPPSの境界の差は認められなかった.この結果は,自らの運動時にはPPS拡大の効果は比較的小さいものであること,また,運動速度による影響はそれほどない可能性のあることを示唆する. 聴覚運動刺激による自己運動知覚への影響の検討では,ベクション知覚への聴覚刺激効果の性差について調べた.その結果,視聴覚条件のみで男女差が見られ,女性の方が有意にベクションへの音の効果が大きい可能性が示された.この結果から,女性は環境からの情報である視覚情報や聴覚情報にも重みをおいていることが示唆された. これらの研究成果をまとめ,日本バーチャルリアリティ学会論文誌に2編の学術論文を投稿した.また,国際会議においても1篇,国内会議において2編の研究発表を行った.これらのことを総合し,概ね順調に研究が進展していると考えている.
|