2017 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロなアプリケーション環境におけるパーシャルコンテンツキュレーションの実現
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17K00274
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中島 誠 大分大学, 理工学部, 教授 (00253774)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーシャルコンテンツキュレーション / デジタルキュレーション / トランスクルージョン / ヒューマンコンピュータインタラクション / 協調作業支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
形式も用途も異なる複数の(ヘテロな)アプリケーションのコンテンツから,ユーザが必要な情報を含む部分(パーシャルコンテンツ)だけを参照して空間的ハイパーテキストを構築し,情報の再構築を容易にするコンテンツキュレーションの仕組みの実現を目指している。平成29年度の実績は以下のとおりである。 (1)まず,ヘテロなアプリケーションからのパーシャルコンテンツ参照手法として,任意のアプリケーションのウィンドウから,任意の位置の矩形領域を特定し,その内部の情報を他のウィンドウ上に表示させる手法を勘案した。特定のアプリケーションを対象とせず,また,アプリケーションには変更を加えず実現するために,先行研究の成果であるアプリケーションの多態化基盤技術の考え方を用いた。参照元アプリケーションコンテンツが変化すると同期して変化し,そのまま転写したイメージ上でのイベントもアプリケーションへ伝達することで,静的画像ではなく活性化したパーシャルコンテンツとして利用可能になる。 (2)1の手法に基づき,ユーザの行う操作をイベント情報として収集する仕組みと,アプリケーションウィンドウ上のイメージ情報から部分領域分のみを転写してPC画面上に描画するキュレーション機構を実現して,アプリケーションのパーシャルコンテンツを集め,組織化できるオーサリングツールのプロトタイプを開発した。先行研究で確立したWebブラウザを対象として,表示されるWebページの部分領域を特定する方法を基にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにオーサリングツールのプロトタイプ作成まで終了している。パーシャルコンテンツ参照手法に関しては,過去の科研費(基盤研究(C)平成25年度~29年度)の補助を受けて進めた研究成果をもとに勘案して,その仕組みを実現することで完了している。その仕組みを利用したキュレーション機構の実現では,対象とするアプリケーションには変更を加えず実現するために,先行研究の成果であるアプリケーションの多態化基盤技術が活用できた。特に,個々の商用のアプリケーションが用意するネイティブなAPI(Application Programming Interface)を利用するのではなく,任意のアプリケーションからパーシャルコンテンツのキュレーションができるように, OS自体が用意するAPIを利用する技術が役立った。キュレーション機構の実現に利用したパーシャルコンテンツ参照手法については,それを応用した技術について,国際会議ならびに国内会議で成果発表も行ってある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.前年度までの成果を基に,アプリケーションコンテンツから参照する複数のパーシャルコンテンツを空間的ハイパーテキストとして組織化できる拡張したオーサリングツールを実現する。キュレーション機構により,PC画面上に描画する複数のパーシャルコンテンツをオーサリングツール上でユーザが自由に動かすだけでなく,思考をまとめるための一種の黒板,掲示板としての必須機能を付加する。パーシャルコンテンツ上での編集も可能にするための仕組みと合わせて,当該研究機関の卒業研究中の大学生および大学院生を中心に,情報収集・集約におけるユーザビリティ評価実験を行う。問題点の洗い出しとオーサリングツールのインタフェースデザインの改善を行う。パーシャルコンテンツを複数参照することによる負荷の増大とそれに対するユーザビリティの低下は不可避となるが,パーソナル環境下での部分情報収集のコンセプトの効果を検証する。 2.情報収集・集約行動特性の検証 キュレーション機構ならびにオーサリングツールの試用実験を通じて,PCを利用した作業環境下での,ユーザの情報収集・集約行動特性を明らかにする。これまで,科研費(基盤研究(C)平成25年度~29年度)の補助を受けた研究において,通常のブックマークの様に,一つのWebページをそのまま再参照することを望む場合と,必要な部分だけをブックマークする場合とで,コンテンツの種類に違いがあることが分かっている。WWWというパブリックに公開された情報における情報収集・集約行動と,自らのPC上にある情報におけるそれとの違いについても精査する。
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