2021 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロなアプリケーション環境におけるパーシャルコンテンツキュレーションの実現
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17K00274
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中島 誠 大分大学, 理工学部, 教授 (00253774)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーシャルコンテンツキュレーション / Visual Thinking支援 / トランスクルージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
形式も用途も異なる複数の(ヘテロな)アプリケーションのコンテンツから,ユーザが必要な情報を含む部分(パーシャルコンテンツ)だけを参照して空間的ハイパーテキストを構築し,情報の再組織化を容易にするコンテンツキュレーションの仕組みの実現を目指してきた。これまで,参照元のアプリケーションの構造に依存せず,必要な情報を必要な量だけ組織化でき,デジタル社会における個人の情報過多を改善するだけでなく,他者との共有によって協調作業支援にも寄与するシステムの構築を行い,さらに,Visual Thinking支援に必要な機能と仕組みの実現に取り組んできた。 上記の過程を経て,情報の収集と整理を用意する新しい人間のスキルの発現についての思索を進めるため,令和3年度は, (1)前年度までに準備した,MacOS,iOSを利用するデバイスで稼働するシステムを使った実験を実施した。 (2)さらに,デバイスを問わずコンテンツキュレーションが可能なように,これまでのシステムをWebアプリケーション化することに着手した。 (1)の検証結果から,スマートフォン上でのコンテンツキュレーションと情報の再組織化におけるユーザの行動履歴を分析できた。キュレーションの目的別に,収集した情報の比較利用,情報のメモ・蓄積,そして情報のコレクションの3つのタイプに類別できた。これらのタイプは,それぞれを好むユーザが,Visual Thikingを行う際に好む,情報の配置・提示のタイプそのものであると考えられ,人間の思考の仕方の違いの源として捉えることができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の(ヘテロな)アプリケーションのコンテンツから,ユーザが必要な情報を含む部分(パーシャルコンテンツ)だけを参照して空間的ハイパーテキストを構築する仕組みについては,概ね完成をみている。それを発展させて,Web上のコンテンツを対象として,複数のデバイス(OS)上でユーザが難なくキュレーションできる仕組みの構築を進めている。現在までに,WindowsOSやAndroid OS上で稼働するシステムを開発し,当該年度で,MacOS, iOSで利用できるWebページを対象としたパーシャルコンテンツのキュレーション機構を概ね確立できた。この機構の有効性を確認するユーザスタディにおいて,これまでのAndroid OSでのユーザスタディに加えて,デジタル情報を扱うユーザの情報収集ならびに整理行動に関する新しい知見もあった。新しい知見に対する最終的な検証と成果発表を行う予定であったが,R2年度のCOVID-19感染症によって大学での研究に若干の停滞が生じ,機能の一部において,Webページのパーシャルコンテンツを画像としてではなく,実際のコンテンツとしてキュレートし再表示させることが未達成である。
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Strategy for Future Research Activity |
利用するデバイスのOSに依らずWebページからパーシャルコンテンツキュレーションが可能で,Visual Thinking支援が行える,Webアプリケーションを構築する。キュレーション時の新しい操作方法ならびに,新しい情報提示の方法も勘案しながら,昨年度の遅延分も含めて検証を実施する。また,補助期間の最終年として,これまでの成果を取りまとめて,国際会議あるいは論文による成果発表の準備を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度で開発したWebページ用パーシャルコンテンツキュレーションの最終的な検証と成果発表を行う予定であったが,R2年度のCOVID-19感染症によって大学での研究に若干の遅延が生じ,予定していた成果発表を行わなかったため,当該年度の予算使用がない。次年度使用額については,昨年度の 遅延分も含めて検証を実施した結果を,これまでの成果とともに取りまとめて国際会議等での成果発表に利用する。
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