2017 Fiscal Year Research-status Report
Application of cross-modal weak-haptic illusion to VR interface
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17K00278
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
盛川 浩志 青山学院大学, 理工学部, 助教 (90386673)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | VR / AR / HMD / システム構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年の研究では,実験システムの基本となるフレームワークの構築を主とし,没入型HMD,光学シースルー型HMDといった視覚刺激呈示系と,身体動作計測によるジェスチャ入力インタフェースや3次元位置センサなどの操作入力系,仮想空間でのインタラクションや視覚表現を制御するコンテンツ制御系の開発・実装を行うことを目標とした. 実験環境構築の検討を通して,光学シースルー型HMDを用いた映像呈示において,光源や移動体の存在といった外界環境が映像制御の安定性に影響を与えることが示唆された.そこで没入型HMDとして,PCベースの高臨場感型HMDと,スマートフォンを利用した簡易型HMDの統合利用を可能とする映像呈示系の構築を行った.これらのHMDは基本的に独立したVR空間の座標系を基準とした映像呈示を行うため,それぞれのシステムの座標系を統合する必要があった. 異なるHMDシステムのVR空間座標系統合のために,それぞれの位置検出システムであるARマーカーおよび赤外線式トラッカーを相互に利用する位置キャリブレーション方法を開発した.具体的には,既知の位置関係をもつARマーカーおよび赤外線式トラッカーの位置座標をそれぞれ複数個所で測定し,その対応関係のずれを最小とするよう最小二乗法を用いて補正を行った.本手法による位置キャリブレーションの結果,それぞれの位置検出システムの位置合わせを手動で行った時の誤差が約30 mmほどであったのに対し,約7 mmに低減することができた. 二つのHMDシステムによって同一の3Dモデルを同じ座標系に呈示し,それぞれのシステム上でモデルの一点を指示するタスクを課し,その使用感について主観評価を行った結果,有意に評価が向上した.今後の検討として,具体的なアプリケーションを想定したコンテンツでの評価や,より実際の身体動作に近いジェスチャ入力の実装などが挙げられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究成果として,実験環境構築において発展的なシステムの開発を行うことができ,今後の研究活動の遂行に大きく貢献する知見を得ることができた.一方で,クロスモーダル刺激の呈示に必要となる身体表現や,身体を用いたインタフェースの検討については,その実装にまだ多くの検討が必要である.さらに,研究計画当初に検討していた光学シースルー型のHMDの利用については,技術的な問題により実験への応用の難易度が高いことが示唆された.これら技術的な課題の解決とともに,具体的なアプリケーションを想定したインタフェースへの実装を進めていく必要がある. これら技術的な課題については,デバイスのハードウェア,ソフトウェアの発展が近年著しいことや,これまで得られた知見を活用することで解決可能であると考られる.さらに,身体動作によるインタフェース実装については,触覚フィードバックの表現について検討を進めており,その効果について評価を行っている.クロスモーダル刺激の呈示方法及び表現方法の拡充を図るために有用な知見が得られることが期待できる. 研究課題全体の目標に対しては,クロスモーダル刺激による微触感錯覚の応用が主となり,現在までの成果としてはその前段階となる環境の構築における諸問題の解決を対象としている.研究開発環境の整備については,後述する研究機関の異動などの問題もあったため,本年度より本格的な実験に移行する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策として,上記インタフェースシステムの実装とクロスモーダル刺激の表現と実装,具体的なアプリケーションを想定したインタフェースへの応用ととその効果について評価を行っていく.平成30年度においては,クロスモーダル刺激による微触感錯覚の生起についての客観的,主観的評価方法の検討を主とした研究活動を行う. 計画当初より,評価方法の検討においては,早稲田大学基幹理工学部表現工学科の河合隆史教授に助言を請うこととしていたが,本研究代表者も同大学への所属となったためより柔軟な連携が可能となった.また研究代表者の所属変更の予定にともない,実際の実験実施環境での検討が困難であると考えたため,理論的検討を主として行ってきた.平成30年度の活動ではその成果を活用し,早期に実験的検討に取り掛かりたい. インタフェースの評価については,身体行動の変容や生体信号の計測などを想定している.これらの活動計測を行うことを想定した実験環境の構築も必要になると考えられる.前年度までの知見から,複数のVR制御系を統合したシステムも活用可能と考えられることから,完成度の高い実験システムの構築を目指す.
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Causes of Carryover |
平成30年度より研究代表者の所属研究機関が変更になることが予定されていた.そのため備品購入を次年度に繰越すことで,新規研究機関での研究活動体制を早期に整備できるようにした.また,実験環境整備に伴う人件費の発生なども抑え,次年度使用額として計上することとした. 次年度の助成金仕様計画としては,早期に実験環境整備に着手するとともに,研究成果の対外発表についても積極的に活用していきたい.物品費の仕様計画として,コンテンツ開発環境にもちいるコンピュータ,HMD等の映像呈示環境,触覚フィードバックなどのシステム開発にかかる部材などが主となる.前年度調達を行ったHMD等についても本年度も現有資産として活用する.さらに,実験の評価系として生体信号計測などの客観指標の導入も検討しており,その機材についても導入を図る.これらコンテンツ呈示系と評価系を柔軟に統合できる環境構築を目指したい.
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Research Products
(1 results)