2017 Fiscal Year Research-status Report
Studies on a communication robot that improves user's mental condition through emotional contagion
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17K00293
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
港 隆史 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 石黒浩特別研究所, 研究員 (50359858)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒューマンロボットインタラクション / コミュニケーションメディア / 感情喚起 |
Outline of Annual Research Achievements |
情動伝染によりユーザをロボットに共感させることでユーザのポジティブな心的状態をもたらすことができる対話ロボットメディアを実現するという目的において,本年度は,人がどのようなユーザの内部状態や環境・コンテキスト状況において,共感を覚え,心的状態を変化させることができるのかを明かにする課題に取り組んだ.本研究の目的においては,ユーザが情動や感情をロボットに帰属する必要がある.しかし,人はロボットの見かけや,その人の背景知識によって,ロボットがどのような機能を持つか,どのような振る舞いを行うかなどの期待を持つため,ユーザに情動や感情をロボットに帰属させるための条件を明らかにすることが課題となる. 本年度は,ロボットメディアとして,表情,パラ言語,身体動作など多様な表出が可能な人酷似型のアンドロイドロボットを対象とした.アンドロイドは人らしい表出が可能であるが,課題となるのはアンドロイドの話題内容である.アンドロイドがある事象について感情的に発話したとしても,アンドロイドがその事象の善し悪しを判断できる能力があるとユーザが思い込まなければ,その感情への共感も生じない(例えば,アンドロイドがお店の食事が美味しくなかったと怒ったとしても,アンドロイドは食事の味の良し悪しが判断できないだろうと思われれば,怒りへの共感も生じない).そこで,本研究ではまずアンドロイドが話すのに適切な話題を確かめる実験を行った.女性型アンドロイドを対象として,アンケート調査によって人々がアンドロイドと話したいと思える話題と思えない話題を調査した.その結果,ユーザの各話題への関心だけでなく,アンドロイドが良し悪しを判断できると思える事象についてかどうかが,上記の評価に影響することが明かになった.今後はこの結果を踏まえて,情動伝染の効果を確かめていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り,本年度はユーザに情動や感情をロボットに帰属させるための条件を明かにする課題に取り組むことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から引き続いて,情動伝染を生じさせるロボットの表出モダリティおよび,情動伝染が生じるためのユーザとロボットの関係性を調べつつ,情動伝染から心的状態を変化させるための要因の調査に焦点を当てる.すなわち,どのような状況において,また人のどのような心的状態において,ロボットから伝染した情動に共感を覚えるのか,ユーザが持っている情動に対して,どのような情動の伝染により原因の誤帰属が生じ,不安の軽減等をもたらすことが可能であるか,その条件を実験を通して調査する.
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Causes of Carryover |
本年度はアンケートによる調査実験に注力したため,ロボットメディアのシステム開発に必要な機材の手配が遅くなったため. 次年度使用額は,次年度にロボットメディアのシステム開発に必要な機材の手配に使用する予定である.
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