2019 Fiscal Year Research-status Report
グラフ構造の分布情報とグラフ項の論理プログラムによる形式グラフ言語学習理論の研究
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17K00321
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Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
正代 隆義 九州国際大学, 現代ビジネス学部, 教授 (50226304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 智之 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (70264934)
宮原 哲浩 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (90209932)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 計算論的学習理論 / 質問学習 / 帰納推論 / 機械学習 / 正則パターン / グラフパターン / 形式グラフ言語 / グラフアルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、形式グラフ言語の分布学習アルゴリズム技術の基盤整備のために、形式グラフ言語の質問学習と正例からの帰納推論について研究を行った。本年度は、形式グラフ言語を扱うために必要な学習アルゴリズムの高速化のために、文字列パターン言語の質問学習モデルにおける計算量理論的階層構造の解明に関する研究を行い、次の成果を得た。 計算論的学習理論における質問学習モデルは、質問を用いた学習の数学モデルであり、巨大なデータベースからパターンを抽出するデータマイニングのモデルとみなすことができる。このモデルにおいて、松本ら(1997)は、正則パターン言語のクラスが1つの正例から2次多項式回数の所属性質問を用いて学習可能であることを示した。本年度は、所属性質問の回数を線形回数に改良した同じ言語のクラスを同定する学習アルゴリズムを提案した。さらに、変数への代入に空代入を許す正則パターンの質問学習の研究を行った。その結果、定数文字が2種以外の場合において、空代入を許す正則パターン言語のクラスが1つの正例から線形回数の所属性質問を用いて学習可能であることを示した。 我々は過去に順序木構造データから頻出極大木構造パターンを効率良く列挙するアルゴリズムを提案した。本年度は、隣接する部分木構造の距離を内部変数の高さパラメータで表現できる高さ制約付きタグ木パターンを導入した。また、順序木構造データから頻出極大タグ木パターンを列挙するアルゴリズムを提案し、糖鎖データ上で計算機実験を行い、新しく導入したパターンの有効性を確認した。 我々が導入したブロック保存型外平面的グラフパターン(BPOグラフパターン)は、化学化合物グラフなどの共通グラフ構造を表すためのグラフ構造化パターンである。本年度は、BPOグラフパターンのワイルドカードによる拡張を行い、遺伝的プログラミングによるグラフパターン発見手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究計画では、形式グラフ言語のグラフ理論的グラフクラスの階層構造における位置づけの解明を行うこととしていた。その過程で、グラフパターンの学習を高速に行うためには、文字列パターン言語の高速な学習アルゴリズムの開発が必要であることがわかってきた。そこで、計算論的学習における主要な学習モデルの一つである質問学習モデルを用いて、文字列パターンクラスの効率的な学習に適用可能な基礎的アルゴリズム技術の開発を行なった。ここで開発した技術とその経験は、形式グラフ言語の高速な学習に必要不可欠なものである。したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に提案した文字列パターン言語の学習アルゴリズムをベースに、文脈自由な形式グラフ体系およびその拡張形式グラフ体系に対する多項式時間機械学習の研究を研究代表者・研究分担者が分布学習の観点から共同で推進する。また、正例からの帰納推論と質問学習を並行して議論することで、形式グラフ言語の学習アルゴリズムの設計に必要な技術を明らかにする。これらに加え、グラフマイニングにおける重要な計算問題に焦点をあてた計算量理論的階層構造の研究を行って、実社会で使える技術の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
物品費、論文掲載のための諸費用はおおむね計画通りに使用している。ただし、当初予定していた国際会議のための旅費、分担者、共同研究者との研究打合せに伴う旅費などが未使用となっている。2020年度は、論文掲載のための諸費用、データ整理のための備品費を中心に、可能な範囲内で、国際会議の旅費、分担者、共同研究者との研究打合せに伴う旅費などに使用する計画である。
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Research Products
(7 results)