2018 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロジニアスな計算機を用いた大規模群衆避難シミュレーションの高速化に関する研究
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17K00328
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
浅野 俊幸 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 上席技術研究員 (40377594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 憲一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, グループリーダー (00359217)
上原 均 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, グループリーダー (00359225)
廣川 雄一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 特任技術研究員 (30419147)
西川 憲明 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 特任技術研究員 (80415984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マルチエージェントシミュレーション / 高速化 / 大規模計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパーコンピュータへコード移植・動作確認・性能計測・分析を行い、高速化方針を検討した。 今年度は、パシフィコ横浜から詳細なCADデータを提供され、それをもとに建物内部等の実形状データを作成し精緻な計算を行った。建物から都市空間にわたる空間スケールでの超高精度な具体的な人流の再現・予測のシミュレーションの開発を実施した。特に、ポスト「京」コンピュータへのコード移植を意識した高速化方針をひきつづき検討しノード内並列化に注力した。新たに人の流れを制御する技術を構築しプログラムに実装したことにより、再度、プログラムの分析・性能測定・高速化を検討した。また、新たに機能実装した部分はリファクタリングに反映させた。その結果、ノード内並列のOpenMP並列では並列効果が確認され、具体的にはエージェント規模が大きくなった1512名の場合には32スレッドに対して21.7倍の高速化を確認することができた。 一方、MPI化については、実行時の使用メモリサイズの分割を目的としたMPI化の検討を実施した。プログラム内で用いる配列データをMPIプロセスに分散させることで、ノード当たりの使用メモリサイズを分散させることができる。検討した結果、MPI並列化を阻害する要因(エスカレータのモデル内)があることがわかった。その対処方法について調査・検討した結果、この問題に対処するには現在人エージェントに対してシミュレーション空間を割り当てているが、これをシミュレーション空間に対して人エージェントを割り振るアルゴリズムに変更する必要があることが分かった。しかし、このコード改変はプログラム全体に影響を与える大作業のため、本研究費内では実施しないことにする。 ただし、ノード内並列については大規模化により十分な効果が予測されるため、現状のシミュレーション課題には影響しない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では全研究期間内に、下記の3項目を明らかにする予定である。 1)大規模シミュレーションモデルの特徴解析 2)高速化された大規模シミュレーションモデルの構築 3)現実の都市空間データを用いた妥当性検証 現在、1)については解析は終わった。2)についてはシミュレーションコードのリファクタリングが終了した。また、ノード内並列については十分な性能を示すことができるコードとし、ノード間並列については本研究では対応できないものの阻害要因とプログラムの改修方針を確定することができた。3)については2019年度注力するが、既に都市空間の精緻なデータの提供を受けて、具体的なシミュレーションの実施と実課題の妥当性検証も開始されており、順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に実施した、シミュレーションコードの改修により、ノード内並列化の阻害要因になる箇所は対応することができた。 2019年度は、高速化された大規模シミュレーションモデルを用いて現実の都市空間データを用いた妥当性を検討する。 具体的には、横浜市のみなとみらいにある大規模イベント施設の”パシフィコ横浜”と”ぴあMMアリーナ”のCADデータを用いて、施設管理者と協働して妥当性検証を行う。
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Causes of Carryover |
出張を予定していた学会のプログラム内容に必要する研究分野の発表がなく、情報収集する必要がなくなったので学会への出張を行わなかった。そのため残額が発生した。 多数のパラメータを変更したシミュレーション実行によりその結果データが大量に出力され、現在、保有している格納用HDDの容量が足りないため新たに格納用HDDを購入予定である。
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Research Products
(10 results)