2017 Fiscal Year Research-status Report
A Study on an Efficient Searching Procedure for Genetic Programming
Project/Area Number |
17K00339
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大木 誠 鳥取大学, 工学系部門, 准教授 (00263484)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 遺伝的プログラミング / 部分サンプリング / 木構造間距離 / 多目的最適化 / メイティング / ランキング / 増殖 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
①EDAとPORTSを融合した新しいアルゴリズムとして、親個体から部分的に構造を切り出す「増殖」操作と切り出した部分構造を結合する「転移」操作を交互に繰り返すことで、新たな木構造を合成する「部分サンプリング(Partial Sampling: PS)」を提案した。これにより、従来、GPでの大きな問題であったブロートを大幅に抑制するとともに、幅広いサイズの木構造を探索することが可能となった。②従来のGPのように木構造の「良さ」の指標のみに基づいて最適化を行うのではなく、より効果的な最適化を達成するために、従来の「良さ」の指標に加え、「木構造サイズ」および個体集団内での「平均木構造間距離」を新たな目的関数に加えた多目的最適化の手法を提案した。これにより従来の「良さ」の指標に基づいた1目的最適化よりも格段に優れた多様な木構造集合を獲得することができた。③多目的最適化の枠組みとしてNSGA-IIに注目したが、従来のNSGA-IIでは親個体集合から溢れたフロント集合に対して混雑距離(CD)に基づくランキングが行われているが、このランキングに木構造間距離(Structural Distance: SD)を用いることによって、多様な木構造を持つ個体が選択され、解の多様性が充実した。ここでは上述①の部分サンプリングをNSGA-IIのmatingにおいて、交叉・突然変異の代わりに用いる。④これらの手法を2重らせん問題に適用し、その有効性を確認した。従来のNSGA-IIによるGPに比べて、SD及びPSを組み込んだNSGA-IIを用いた場合に、より良好で多様な木構造集合が獲得できた。⑤H31年度・H32年度に予定していた「大規模ホームセンターにおける短時間労働者勤務表作成問題」について検討を行い、成果を国際学会で報告した。 現在、これらの成果をまとめた論文を国際学会に提出している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
●研究の当初に提案した、EDAとPORTSを融合したアルゴリズムでは、計算コストが低減できず、また探索効率も良くなかった。この手法では、部分木構造の出現確率を保存するための変数が膨大になり、さらにそれら出現確率を参照するために計算コストを要することが判明した。そこで、上述のように「増殖」と「転移」を繰り返しながら新たな木構造を構築する「部分サンプリング」の手法を検討・コーディングするために時間を要した。●前述の理由によりEDAの考え方を多分に含んだアルゴリズムでは多大な計算コストを要するため変異オペレータにのみ頼ってGPの性能向上を図るのではなく、NSGA-IIの最適化枠組みを取り入れた多目的最適化の手法を取り入れることにより性能向上を目指す方向に転換したため、検討・コーディング等に時間を要した。●研究計画で予定していたベンチマーク問題としてRoyalTreeやSymblic Regressionなどの問題は、比較的容易であったため、手法間の優劣が付けにくかった。これに対し、上述の2重らせん問題はニューラルネットワークでも解くことが難しく、関数合成問題として他の応用の可能性も多い。このような評価手法に関する検討・コーディングに時間を要した。●2017年度当初に、企業との共同研究(2分木を会員管理に応用しようとするもの)の交渉が立ち起こった。この共同研究の内容は本研究課題での応用例として利用可能と考えられる。しかし先方企業の都合により当該共同研究は実施されなかった。このための企画・交渉などに時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
●現在、得られている部分サンプリングでは、終端ノードのうち定数ノードの値の最適化に関する能力が著しく低い。これを補うために、以下のような対策を講じる予定である。⑥突然変異の要素を部分サンプリングに取り入れ、数値最適化の能力を補強する。⑦木構造の評価の直前に定数ノードベクトルに対して粒子群最適化(PSO)を行う手法を試みる。●⑧これに対し、構造最適化の能力を増強するために、現在得られている部分サンプリングの手法にEDAの要素をさらに取り込めないかを検討する。●⑨部分サンプリングの手法を再構築・簡略化して高速に変異できる手法を検討する。●⑩上記④の2重らせん問題における関数最適化の手法を発展させた具体的な応用を模索する。
|
Causes of Carryover |
●前述の【現在までの進捗状況】で示した通りの事由により研究の進捗が遅れてしまったため、当初計画していた国際学会発表等が行えなかった。今年度には2件の国際学会発表を予定しており、また国内学会にも積極的に発表することで、本研究課題の推進に役立てたい。 ●また、同様の事由により2017年度の段階で必要な研究設備の規模が小さくなってしまった。しかし2017年度で提案した部分選択および木構造間距離を備えたNSGA-IIが確立し、さらにPSOなどの計算資源を確保するために、大きな計算能力が必要になる予定である。
|