2022 Fiscal Year Annual Research Report
Probability Distribution Approach to Image Dictionaries for Compressed Sensing
Project/Area Number |
17K00340
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
相田 敏明 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 講師 (60290722)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 圧縮センシング / 疎表現 / 疎符号化 / 相関 / 画像 / 統計物理 / レプリカ法 / レプリカ対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧縮センシングとは,推測対象について多数の特徴を事前に用意することにより,少数のデータからでも推測を可能にするもので,原理的に最も高性能な統計的推測手法である.しかし,圧縮センシングを実問題へ応用する際に本質的役割を果たす,辞書行列については不明な点が多い.例えば,情報内の相関の強さと辞書行列の縦横比の最適な関係について,定性的にはその性質を理解できるものの,定量的には明らかにされていない. 圧縮センシングの主たる応用場面は,画像などの冗長なデータの推測であるため,相関を有するデータに対する,圧縮センシングの平均的性能の解明が必要である.本研究では,ガウスノイズの掛かった劣化画像の復元問題を例に,上記へアプローチした. 具体的には,統計物理学のレプリカ法を応用して,「劣化画像の復元問題」の解の,大自由度極限における平均的な性能の解析的評価を試みた.そこで,上記問題の解の典型的な振る舞いを記述する非線形連立方程式を導出し,その完全復元解を基点とした,モデルのパラメータに関する2次までの摂動解析を行った.また,「レプリカ対称性」を仮定して解析を行い,解析結果のパラメータ空間における適用可能範囲と,解の一意性がパラメータ空間内のどの領域において成立するかを解明した. これにより例えば,「画像を疎符号化により表現したとき,画像辞書の縦横比を厳密に調整しなくても,高い推測性能が得られる.」といった経験的事実を説明することが可能となった.更に,画像内の相関の強さを制御するパラメータと疎符号化の疎性パラメータの値に対して,辞書行列の最適な縦横比が,レプリカ対称性の成立限界を意味するAT線により与えられることを明らかにした. 本研究は,摂動展開の基点となる解が複数存在したり,最低2次までの摂動展開が必要とされるなど困難な点が多かったが,解析手法を確立することが出来たのが最大の成果と言える.
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Research Products
(2 results)