2017 Fiscal Year Research-status Report
観測像が持つ統計的性質を利用して物体認識機構を獲得する神経回路モデルの構築と応用
Project/Area Number |
17K00357
|
Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
木本 智幸 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (30259973)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上江洌 達也 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (10160160)
園田 潤 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (30290696)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | Hopfieldモデル / 位相振動子 / XYスピン / 地中レーダ / 物体識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
顔画像のように観測方向によって連続的に変化する画像には、連続的な相関構造が存在する。そうした連続的な相関を持つ記憶パターンをHopfieldモデルに学習させた場合、どのようなアトラクタが発生するかを解析した。その結果、各記憶パターンの相関が弱いと点アトラクタとなり、相関が強くなるに従い、相関アトラクタとなり、非常に強いとこ対象混合状態となることが分かった。また、Amit型の相互作用を入れ、その係数を適切に設定すると、記憶パターンが点アトラクタと混合状態の双方に切り替えられることが分かった。これは、脳のIT野において顔画像を識別するときの反応に近く、非常に興味深い結果である。 上記研究は、Isingスピン系とXYスピン系で実行しているが、よりリアリティーのある位相振動子系でも解析を行う必要がある。そのために、XYスピン系モデルと位相振動子系モデルの対応関係についての研究も行った。その結果、その両者の性質はオーバーラップオーダーパラメータレベルでは非常に類似しており、XYスピン系モデルの解析をもとに、位相振動子系モデルへ、その性質を維持しながら発展させられることが分かった。 また、こうした知見を将来的には物体識別へ適用させる計画であるが、そのために地中レーダ画像を用いたニューラルネットワークによる物体識別につての研究も開始した。現在のところ、地中内に埋設された比誘電率が異なる4種類の物体の識別を、ニューラルネットワークで実行し、ある程度の大きさの範囲であれば、精度80%の識別率で認識できることが分かった。ヒトが4種類の物体の識別をした場合、個人差が大きく、能力の高い人でも70%とされているため、十分な成果が得られていると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究で実行する内容が多岐にわたるため、当初の研究順番とは異なるが、研究実績が上がるように入れ替えながら進めており、3年間で行う内容については順調に進んでいる。 Hopfieldモデルに連続相関のある記憶パターンを学習させた場合、複数の記憶パターンが混合してしまうことが予想されていたが、Amit型の相互作用を入れることで、記憶パターンそのものの安定性が回復するという予想外の成果も得られた。 また、地中レーダ画像を用いたニューラルネットワークによる物体識別につての研究でもヒトの識別能力よりも高い性能が得られる可能性が示されたため、十分な成果が得られていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、Hopfieldモデルについての研究は、計算機シミュレーション主体であったため、今後は統計力学を用いた理論的解析を行い、系統的に性質を解析していく計画である。また、地中レーダ画像を用いたニューラルネットワークによる物体識別につては、識別対象物体の大きさの範囲をより広範囲に拡張するとともに、現在は計算機シミュレーションでの実験であるため、実物に対しての識別性能を調べて実用レベルの70%以上を目指す計画である。
|
Causes of Carryover |
旅費が早割を使うことで、想定より少々安く済んだため差額が発生した。その差額は次年度の旅費として利用する。
|
Research Products
(11 results)