2020 Fiscal Year Research-status Report
インターネット上の大規模データの解析による色彩調和論再考
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17K00379
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
深井 英和 岐阜大学, 工学部, 助教 (50324281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 色彩調和論 / 大規模データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
人が感じる色彩の調和についての議論の歴史は長く,これまでに複数の法則性が報告されてきた.ところが,数多くの色彩調和論が提案されてきたにも関わらず,各色彩調和論の妥当性はこれまでほとんど検証されてこなかった.その要因として,色の好みが性別,年齢,文化,人種,経験,精神状態などによってさまざまであること,および人を被験者とした心理実験特有の難しさがあること等が考えられる. 本研究では,2020年度は,既存の色彩調和論のうち最も著名なもののひとつである Moon & Spencer の色彩調和論について,その妥当性をインターネット上の大規模データの解析により検証した.解析では Moon & Spencer が定義した「美度」の妥当性をまず検証した.その結果,投稿パレットにおいてはランダムに生成したパレットと比較して統計的に有意に美度の値が高かった.Moon & Spencer の定義した美度の定義には一定の妥当性が確認されたが,投稿パレットに対する美しさの評価との相関は小さなものであった.そこで我々は,インターネット上の投稿パレットの評価と「美度」の値の相関がより高くなるよう,Moon & Spencer の「美度」定義を修正した.概要を2021年3月13日に開催された日本色彩学会東海支部の第16回東海ヤングセミナーで発表した.Moon & Spencer の色彩調和論の妥当性検証結果と新たな「美度」計算式の提案に関する詳細は現在学術論文として執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は,他のプロジェクトの研究に対するエフォートの割合が大部分を占めたため,当研究テーマの進捗はやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
・2020年度に行った Moon & Spencer の色彩調和論の妥当性検証に関する解析結果を学術論文にまとめる. ・継続して行っている色提示順が継時中間混色の知覚に与える影響に関する分析を進め,学術論文にまとめる.
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Causes of Carryover |
前年度は他の研究プロジェクトによって多くのエフォートを割かれたために当該研究テーマの進捗が計画通りに進まなかったため,前年度の予算を次年度に繰り越す.
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Research Products
(1 results)