2018 Fiscal Year Research-status Report
系統的解析に基づく、「かわいい」感の国際的多様性の明確化
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17K00388
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
大倉 典子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00317364)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | かわいい / 深層学習 / 感性価値 / 国際的多様性 / わくわく感 / 癒し系 / 心拍 / 視線追跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「かわいい」感の国際間の共通性と差異の明確化である。我々はこれまでおもに日本人を対象に、視覚・触覚・聴覚のマルチモーダルな側面から、人工物の物理属性から生じる「かわいい」感を系統的に解析し、その結果から「かわいい」人工物の定量的構成法を導出した。本研究は、これまでの研究の 方法および成果に基づき、「かわいい」感の国際的多様性に焦点を当て、日本人以外の外国人の「かわいい」感のモデルを導出する。ここでは色や見た目の質感等の視覚的物理属性に対象を絞り、これまでの脳波や心拍等の生体信だけでなく視線追跡も用いる。 ここで平成30年度は、以下の2項目を計画し、実施した。 1.日本人および外国人を対象とした、「かわいい」感のモデルの検証実験:平成29年度に構築した、化粧品のボトルの画像を対象とする、日本人とタイ人の「わくわく系かわいい」感のディープラーニングによるモデルに対し、ボトルデザインを部分的に改変した画像を入力することで、「かわいい」感に影響するキーファクターを定量的に明確にした。評価には視線追跡データも活用した。ただし、日本人と中国人との比較を目的としたモデルについては、現在まだ構築中である。 2.日本人および外国人を対象とした、「わくわく系」と「癒し系」の分類を考慮した生体信号計測や視線追跡等による「かわいい」感のモデルの構築:ぬいぐるみの実物を用いて実験を行い、「わくわく系かわいい」感と「癒し系かわいい」感と心拍の関係に関する新しい知見を得た。さらに、これらの「かわいい」感に対し、心拍から算出した生理指標を説明変数とする重回帰モデルを、日本人を対象として構築した。 3.さらに当初計画にはなかったが、「原宿系かわいい」と分類されるファッションの特徴抽出や日本人と外国人との評価の多様性の比較も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に実施を計画した2項目は、いずれも平成29年度の継続であり、中国人との比較モデル以外は、特段問題なく充分な成果が得られたと判断される。さらに計画外の進展もあり、全体としてはおおむね順調に進展していると判断されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の実施計画にあった3項目を、引き続き継続する。具体的な内容は、以下のとおりである。 1.日本人および外国人を対象とした、「わくわく系」と「癒し系」の分類を考慮した「かわいい」感のモデルの検証実験:平成30年度には、平成29年度の実験とは異なる化粧品 のボトルの画像を対象として、日本人と中国人の「わくわく系かわいい」感のディープラーニングによるモデルを新たに構築し、両者の共通性と差異を明らかにする予定であった。既に実験は終了しているが、信頼性の高いモデル構築に時間がかかっており、これを今年度中に完成させる。 2.日本人および外国人を対象とした、「わくわく系」と「癒し系」の分類を考慮した生体信号計測や視線追跡等による「かわいい」感のモデルの構築:平成30年度には、ぬいぐるみの実物を用いて実験を行い、「わくわく系かわいい」感と「癒し系かわいい」感に対し、心拍から算出した生理指標を説明変数とする重回帰モデルを、日本人を対象として構築した。これに対し、ディープラーニングを用いたモデル化とその国際比較を、今年度の課題とする。 3.「原宿系かわいい」ファッションの特徴抽出とその国際比較:「原宿系かわいい」ファッションは、他のファッションと比較して大きな特異性を有すると考えられる。その特徴を、画像特徴量を用いて定量化すると共に、他の日本、アジア、欧米のファッションとも比較する。
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Causes of Carryover |
少額で使用できなかったため、次年度助成と共に支出する。
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Research Products
(13 results)