2018 Fiscal Year Research-status Report
Improvement in Diversity of Music Composed by the Automatic Composition System Adapting the Personal Sensibility
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17K00390
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
大谷 紀子 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (70328566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自動作曲 / 感性モデル獲得 / 進化計算アルゴリズム / サウンドロゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
感性モデルの獲得手法として昨年度導入したPrefixSpanには,同じ和音がいくつも続く場合に処理時間が膨大になるという問題があることがわかった.今年度はまずこの高速化に取り組み,ベートーベンの「月光」の感性モデル獲得時間を約40秒から約1秒に短縮することができた.また,これまでは入力曲として4分の4拍子の曲しか選択できなかった点に対処するために,3拍子の楽曲を4拍子に自動編曲する方法を考案した.さらに,メロディに合うドラムパートを生成や,人間による演奏に近いMIDIファイルの出力に関しても検討するとともに,対話型遺伝的アルゴリズムを使用した水野式黒鍵作曲法に基づく作曲システムを実現した. 一般の方が自動作曲を体験するためのシステムにおいては,よりシンプルでわかりやすいデザイン,実行するパソコンの画面サイズに合ったレイアウトへの自動変更,選択した既存楽曲の表示,文字サイズの選択など,昨年度のインタフェースをさらに改良し,自動作曲体験ワークショップにおいて好評を得た. これまでに,アーティストの創作活動における自動作曲システムの活用にも取り組んできたが,今年度はアーティストの卵である音楽大学の学生との協働に取り組み,その過程における自動作曲システムの効果を認知科学の観点からも分析した.完成した楽曲「きっとAI」は音楽大学の学園祭で披露するほか,YouTubeでも公開し,好評を得ている. 本研究の自動作曲技術を応用して,企業名サウンドロゴの制作にも関与した.社員160グループがそれぞれの思いを込めて口ずさんだ社名のメロディの特徴を学習し,その特徴を盛り込んだ2小節のメロディを作成した.2小節という短かさ,和音進行がない状態でのメロディ生成,譜割りの考慮など,これまでとは異なる点について新しい手法を考案し,クライアントが満足するようなサウンドロゴを完成させることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の推進方策として,既存楽曲の曲調ごとの感性モデル生成,3拍子から4拍子への自動編曲,メロディに合うドラムパートの生成,感性モデル獲得にかかる処理時間の短縮,人間による演奏に近いMIDIファイルの出力,および自動作曲体験システムのインタフェースの改良を挙げていた.これらについて,既存楽曲の曲調ごとの感性モデル生成以外はすべて達成することができた.また,推進方策に挙げなかった内容として,水野式黒鍵作曲法に基づく作曲システムの実現,音大生との協働,およびサウンドロゴの制作に取り組み,いずれも学会発表につながる成果が得られた. 以上より,既存楽曲の曲調ごとの感性モデル生成には着手できなかったものの,総合的にはおおむね順調であると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度はまず,前年度に着手できなかった既存楽曲の曲調ごとの感性モデル生成に取り組む.正事例に含まれる既存楽曲の曲調ごとに複数の感性モデルを生成し,より多様な曲調の楽曲が生成されるように,解探索処理を見直す.また,これまではメロディの音高を和音の発音タイミングでは和音の構成音,それ以外ではスケール構成音から選択して決めていたため,必要以上のアボイドノートが含まれ,不自然な楽曲が出力されることがあった.また,基本的に順次進行に従っていたため,音の跳躍が起こりにくいという問題もある.そこで,音高の決定方法を再検討する.さらに,バレエ音楽など,異なるジャンルの楽曲生成にも挑戦する.
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Causes of Carryover |
当初の予定では,複数の感性モデルの生成方法を効率よく検討するために,高性能のコンピュータを購入する予定であったが,今年度は別のテーマに尽力したため,既存のコンピュータで研究を進めることができた. 今年度の研究を進めるにあたっては,高性能のコンピュータが必須であるため,その購入資金として使用する.また,2019 IEEE Congress on Evolutionary Computationなどでの成果発表を予定しているため,発表にかかる参加費及び旅費に使用する.
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Research Products
(20 results)