2021 Fiscal Year Research-status Report
Improvement in Diversity of Music Composed by the Automatic Composition System Adapting the Personal Sensibility
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17K00390
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
大谷 紀子 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (70328566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自動作曲 / 進化計算アルゴリズム / リラックス効果 / Progressive House / 前奏 / 後奏 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでは,楽曲を聴くことにより得られる効果や楽曲のジャンルに関して,特化した処理は行わず,入力曲を変えることのみでどの程度まで対応できるかの検討を進めてきた.2021年度は,特定の効果を狙った楽曲や特定のジャンルの楽曲を生成する手法の検討の第一歩として,音楽療法やヒーリングなど,個人向け楽曲として活用場面が広く,需要の高いリラックス効果のある楽曲の生成手法,およびエレクトロニックダンスミュージックのサブジャンルであるプログレッシブハウスに属する楽曲の生成手法の開発に取り組んだ.前者では,現行の手法で生成された楽曲のメロディの音高を調整することで,リラックス効果をもたせた.また,プログレッシブハウスの楽曲は,サビ部分で高音の電子音のリードを短いメロディパターンで繰り返し演奏する点を特徴とすることから,後者では,対話型遺伝的アルゴリズムによりサビ部分を生成する手法を提案した.既存楽曲からプログレッシブハウスの特徴を獲得し,初期集団の個体は,獲得された特徴が盛り込まれるように生成する.以上に加え,1つの楽曲としての構成をもった楽曲の生成を目指して,現行の手法で生成された楽曲を主部とし,主部に適合するような前奏と後奏を自動生成する手法も提案した.いずれの手法についても,被験者実験により有用性が示されている. さらに,本研究の成果である自動作曲システムを用いて,空間音響作家である宮木朝子氏とともに,第7回両国アートフェスティバルで披露する作品を制作した.本作品は2022年8月に披露される予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の報告書では,今後の推進方策として,リラックス効果のある楽曲の生成,Progressive Houseに属する楽曲の生成,および主部に適合するような前奏と後奏の自動生成に関する研究に取り組むと記載したが,今年度はこれらすべてに取り組むことができた.また,推進方策に挙げなかった実践的な取組み(第7回両国アートフェスティバル)にも参画した.以上より,学会発表はできなかったものの,総合的にはおおむね順調であると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
特定の効果を狙った楽曲として,2022年度はウォーキング時の楽しさと運動効率を向上させるようなウォーキング用BGMを取り上げる.インターバルウォーキングの健康効果に着目し,楽曲を聴きながら歩くことで,「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を自然に繰り返せるようにする.また,特定の楽器で演奏することにも着目し,エレクトーンで演奏するための三段譜で表記される楽曲の生成,およびピアノの基本練習において,ハノンと同様の効果が得られ,楽しく練習を続けられるような練習曲の生成に取り組む.さらに,生成楽曲により適切に感性を反映させることを目的として,ラフ集合を適用した感性モデルの獲得手法を検討する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,参加学会がすべてオンライン開催となり,研究のための調査や打ち合わせにも出向くことができなかったため,旅費が不要となった.また,自動作曲体験ワークショップ等も開催できなかったため,人件費や雑費も使用しなかった.今年度は,昨年度できなかった活動を対面もしくはオンラインで行なうことを通して,研究をより深め,まとめていく.昨年度からの残金はその諸費用として使用する.
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