2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishing statistical inference theory for bio-systems and biological control theory using control engineering
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17K00398
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木立 尚孝 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (80415778)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 一細胞シーケンシング / 制御工学 / バイオインフォマティクス / 機械学習 / カルマンフィルター / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、制御工学分野で発展した、連続時間非線形カルマンフィルターを整備とソフトウェア開発を行う。これにより例えば、一細胞RNA-seqデータから遺伝子間相互作用強度を推定するなど、生物の状態変化を引き起こすメカニカルな機構を解明し、異なる初期状態に対し、生命状態がどう遷移するか、などを予測可能にする。また、カルマンフィルターモデルが含む制御変数を人工的遺伝子過剰発現や外部環境刺激に対応させることで、生命を細胞レベルで自在に制御する工学技術へ向けた理論的基盤の確立を目指している。本年度は、線形カルマンフィルターの場合について、パラメータ推定アルゴリズムの完全な実装を行った。線形カルマンフィルターの場合、時間に関する離散化を行うと、平方完成を何度も繰り返すことにより、尤度のパラメータ微分を完全に遂行することができるため、最急降下法を用いて、パラメータの最尤推定値を求めることができる。この手法を、稲のトランスクリプトームの時系列データに適用して、トランスクリプトーム変化のモデリングを行った。その結果稲の日周変化をうまく捉えられることがわかった。また、日射量、気温、湿度などの外部環境要因を因子として加えると多くの遺伝子について、予測精度が向上することが明らかになった。予測精度の向上に一番寄与する外部要因は日射量であることがわかった。また、外部環境の入力により予測精度が向上する遺伝子に対し、遺伝子オントロジー解析を行うと、窒素吸収に関わる遺伝子が多いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線形カルマンフィルターモデルを実装し、実データに適用し、植物トランスクリプトームと環境要因の相関をデータから捉えることができたことで一定の進展があったものと思われる。しかし、非線形カルマンフィルターのパラメータ推定の実装がまだ完成しておらず、今後の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は非線形カルマンフィルターのパラメータ推定の実装を加速して一細胞シーケンシングデータや動物行動をGPSで計測したデータに適用していく。
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Causes of Carryover |
本年度は主にアルゴリズムの開発と実装に費やした。このため、実データ解析に必要な機器購入、RA謝金やノートPC の購入を次年度に持ち越すことにした。
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