2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishing statistical inference theory for bio-systems and biological control theory using control engineering
Project/Area Number |
17K00398
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木立 尚孝 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (80415778)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 一細胞シーケンシング / 制御工学 / バイオインフォマティクス / 機械学習 / カルマンフィルター / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、制御工学分野で発展した、連続時間非線形カルマンフィルターの整備とソフトウェア開発を行う。これにより例えば、一細胞RNA-seqデータから遺伝子間相互作用強度を推定するなど、生物の状態変化を引き起こすメカニカルな機構を解明し、異なる初期状態に対し、生命状態がどう遷移するか、などを予測可能にする。また、カルマンフィルターモデルが含む制御変数を人工的遺伝子過剰発現や外部環境刺激に対応させることで、生命を細胞レベルで自在に制御する工学技術へ向けた理論的基盤の確立を目指している。2019年度は、非線形カルマンフィルターのパラメータ推定の確信度を計算するアルゴリズムを開発した。この手法では、多数の確率過程のトラジェクトリを中心座標とそこからの確率的揺らぎの成分に分解し、中心座標については、ニュートン・ラフソン法を用いて、非線形効果を完全に取り込んだ最適化を行い、揺らぎの成分については対数尤度のテイラー展開の2次項まで考慮して、パラメータの事後分布の分散共分散行列を計算する。この計算にはパラメータ数の2乗に比例する巨大な行列の逆行列の計算が含まれるが、2次アジョイント法を用いて、必要メモリ量を現実的なレベルに留めながら、パラメータの確信度を計算できるようにした。また、このシステムが様々な微分方程式に適用できるように、パラメータに依存するテンソルの表現式の自動微分を計算するアルゴリズムも実装し、ソフトウェアをより汎用性のあるものにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テンソルの自動微分アルゴリズムの実装により、様々な微分方程式のパラメータ推定に活用できる汎用性を得たが、これを確率揺らぎの計算と組み合わせた時に、コンパイル時のメモリ使用量が非常に大きくなる現象が現れた。このメモリ使用量の増大を抑えるための、新たなアルゴリズムを追加で開発する必要のために、実データへソフトウェアを適用する予定がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
アプリケーション実行時の計算量を削減するために、複雑な計算をできるだけコンパイル時に行うような設計を行ったが、それにより、コンパイル時のメモリ使用量が大きく増大している。このため、メモリ使用量をへらすための計算方法の改善を行い、実データの解析につなげていく。
|
Causes of Carryover |
当初は本年度に実データの解析を行うはずであったが、本年度は主にアルゴリズムの開発と実装に費やした。このため、実データ解析に必要なRA謝金やノートPC の購入を次年度に持ち越すことにした。
|
Research Products
(3 results)