2018 Fiscal Year Research-status Report
Theory and practice of abnormal electrocardiographic patterns using antidictionary probabilistic models
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17K00400
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
森田 啓義 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80166420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 隆博 長野県工科短期大学校, 情報技術科, 准教授 (60579001)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心電図 / 心室性期外収縮 / 反辞書 / 状態遷移確率モデル / 極小禁止語 / 不整脈 / PVC / ECG |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は次に掲げる二つの研究課題に取り組んだ. 1. スマフォ端末への検出システムの仮実装(森田) 以下の要素から構成されている心電図データ伝送無線システムを構築した.1) 人体に直接装着する心拍センサ,2) 内蔵された無線WiFiによって心拍センサから送られていくる測定データを無線LANルータへ中継するブリッジ,3) JavaScriptで書かれたPCに実装したパケット受信プログラム,4) PCからスマフォ端末 (iPhone, Android) のエミュレータへのデータ送信プログラム.以上の装置とプログラムのうち,3)および4)のプログラムの部分は本研究で独自にプログラムを開発した.これらのシステムに加え,反辞書確率モデルを用いた不整脈検知プログラムのスマフォ端末エミュレータへの実装も確認した.こららの検証結果より,実際の心電図センサから送られてくる心電図データから検知が可能であることが確認できた. 2. 仮システムの評価(森田・太田) 実際にシステムを稼働した状態で,処理速度やメモリ量,そして消費電力の測定を行った.さらに不整脈の検知ならびに不整脈の種別分類の精度を評価するために,個々の被験者の臨床データに適用するのではなく,基本的に,前述の MIT-BIH のデータベースや他の学会が提供する不整脈と判定されたデータを用いた.これにより,医療従事者でない一般の工学系研究者による臨床データの不整脈判定という診断行為を回避した上で,試作したシステムに対して信頼度の高い評価を行うことが出来た. さらに,不整脈検出対象に心房性期外収縮を加える実験を行い,その結果は国内学会で口頭発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,1. 差分化による心電図データの定常分布化,2. 量子化による反辞書確率モデルのコンパクト化,という二つの研究課題に取り組んだ.処理データの定常分布化と量子化を合わせることにより,データ規模の大幅な削減と,異常検知を行うための確率状態遷移モデルのコンパクト化を同時に達成することが可能になった. 第2年度は上記の成果を踏まえ,研究実績の概要で述べた課題1と課題2を実施した.ここでは課題2の内容について詳しく述べる.不整脈の中でも頻発すると重篤な症状に至りうる心室性期外収縮(premature ventricular contraction: PVC) に注目し,PVCの発生を検知するシステムの構築に取り組んだ.実施内容は,まず公開されているMIT-BIH不整脈データベースからPVCを含む48本のレコードからPVC検出のための反辞書確率モデルを構築する.反辞書とは,観測されたデータに出現しない単語の中でも極小の長さを持つ極小禁止語 (Minimum Forbidden Word) を登録した辞書であり,そのデータに出現しない単語は全てあるMFWを部分列としてもつという意味で,反辞書はデータに出現しない単語全体をコンパクトに表現したデータ構造とみなしうる.使用したレコードはどれもサンプリング周波数360Hz, 11ビット/サンプルでAD変換されたもので,1本が30分のデータ量(バイト換算で,約900K バイト)を持っているが,反辞書の作成にあたっては,差分化・量子化を経たのちレコードの先頭部分の1分弱の波形のみを利用すれば,検出性能の点から,従来法と遜色ない性能を保持しつつ,かつ,検出器に必要なメモリ量を100分の1以下に削減可能であるが分かった.この結果は,2018年12月に学会発表した (学会発表 1)
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,次の二つの課題に取り組む. 1.不整脈検出システムの精度向上 今回,不整脈の種類を前年度までに実施していた心室期外収縮(PVC)に加え,心房期外収縮(PAC)を加えたところ,未検出率については従来のものと遜色ない結果が得られたが,誤検出率が増加した.原因の一つとして考えられるしきい値を用いた判別法の改良を検討する. 2.検出システムの実装 今回はエミュレータを使用しており,実際のシステム構成にはブリッジ・ルータを介していたが,使用しているセンサにはWif以外にもbluetoothによる通信機能も内在していることが判明したので,中継機器を利用せず,センサから直接スマフォ端末へデータを送信することによってシステムの簡略化を図る.
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Causes of Carryover |
当初予定になかった国際会議での発表があり,旅費が増加したため.
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