2017 Fiscal Year Research-status Report
情動可塑性の機能とメカニズムを明らかにするシナプス統合モデリング
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17K00404
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浦久保 秀俊 京都大学, 情報学研究科, 特定研究員 (40512140)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | FIB/SEM / 計算論的神経科学 / シナプス可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に項目B「シグナル伝達の時空間シミュレーションよりGlu, DAシグナルが相互作用する空間範囲を明らかにする」について大きな進展があった。まず、共同研究者(順天堂大学医学部)より、線条体の電子顕微鏡二次元スタック像(EM像)をご提供いただいた。さらに、別の共同研究者(ドイツ・Mittweida University of Applied Sciences)より、CNNに基づいた顕微鏡画像の細胞膜の自動グメンテーション手法の新規開発を行って頂いた。そこで、開発した手法を、線条体の二次元スタック像に適用することで、細胞膜の自動セグメンテーションの二次元スタック像を得ることに成功した。 さらに、二次元スタック像の細胞膜自動セグメンテーションに基づいて、線条体組織の三次元再構築を行った。第一に、多数の誤りが含まれている自動セグメンテーションのプルーフリード(人手による補正)を行うための環境を整え、実行した。多数のソフトの比較より、Harvard大学のRhoANA pipelineのビューワ・プルーフリードソフトMojoと、ペイントソフトpaint.netの組み合わせが今回の目的に適切であることを見出した。第二に、各スタックにおいてセグメントされたオブジェクトを層間でつなぎ、3次元オブジェクトを構成するためのソフトウエア開発を行った。安定マッチング法とIF-THENルールの組み合わせることで、3次元オブジェクトを構成することができた。これら「プルーフリード」と「3次元オブジェクトの構成」を交互に繰り返して行うことにより、ターゲット領域内(線条体)の樹状突起、軸索、グリアすべてのオブジェクトの再構築、すなわちDense Reconstructionに成功した。すなわち、線条体のGlu, DAシグナル伝達の時空間シミュレーションを高精度で行うための環境を整えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初は、手動によるセグメンテーションを想定していた。しかし、自動セグメンテーションと三次元再構築の成功により、特にDAシグナルの時空間シミュレーションを高精度で行うための道が開かれた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた線条体の三次元再構成像(Dense Reconstruction)より、四面体メッシュによるコンパートメント化を行う。さらに、プラットフォームシミュレータSTEPSを用いて細胞内外の分子の反応拡散シミュレーションを行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究者が現在所属する研究室の計算リソースを使用することができたこと、また、Dense Reconstructionが可能になったことは嬉しい誤算ではあるものの、研究自体に時間がかかり外部発表がなかったことなどから、研究費を使用しなかった。しかし、次年度からは、シミュレーションのために必要な、高速なPCクラスタを積極的に購入することにより研究を加速する。
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