2018 Fiscal Year Research-status Report
情動可塑性の機能とメカニズムを明らかにするシナプス統合モデリング
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17K00404
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浦久保 秀俊 京都大学, 情報学研究科, 特定研究員 (40512140)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計算論的神経科学 / FIB/SEM / シナプス可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もまた主に項目B「シグナル伝達の時空間シミュレーションよりGlu, DAシグナルが相互作用する空間範囲を明らかにする」について研究の進捗があった。昨年度までに、2D CNNを用いて電子顕微鏡画像からニューロン細胞膜のセグメンテーションを行い、3次元ニューロン再構築を行ったが、本年度、高性能な3D CNNに基いたセグメンテーション法 (FFN) が発表されたため(Januszewski, M. et al. Nat Methods 15, 605-610, 2018)、急遽FFNに切り替えてニューロン細胞膜のセグメンテーションを行っている。また、自動セグメンテーション後のプルーフリード(人手による補正)について、Harvard大学のRhoANA pipelineのプルーフリードソフトDojoに独自の改良を加え、プルーフリードのみならず教師セグメンテーションの作成も行えるようにした。これまでDojoの拡張や2D CNN, FNNの適用等、各種手法を併用しながら電子顕微鏡画像からニューロンの3次元再構築を行うと共に、それを実現するソフトウェアの開発を行ってきたが、同ソフトウェアの蓄積が一定水準を超えたと判断されたため、ソフトウェア論文としてまとめて論文投稿を行った。同ソフトは、Pythonなどのプログラム技術を持たない実験家が、電子顕微鏡画像から3次元再構築を行うために非常に有効なツールとして仕上がっている。また、電子顕微鏡から三次元再構築されたスパイン形状に基づいて、4面体メッシュによるコンパートメント化を行った。さらに、プラットフォームシミュレータSTEPSを用いて細胞内Ca2+の反応拡散シミュレーションを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初は、手動によるセグメンテーションを想定していた。しかし、自動セグメンテーション手法が予想を超えた制度に達しつつあり、ソフトウェア論文としてまとめて投稿することができた。また、Glu、DAシグナルの高精度シミュレーションが可能になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた3次元形状に基づいて、プラットフォームシミュレータSTEPSを用いて細胞内Ca2+の分子の反応拡散シミュレーションを行う予定である。また、DAシグナルについても、モデルシミュレーションを行う環境を整える。
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Causes of Carryover |
本年度は、開発を行ったソフトウェアを公開するために、GUIの整備などを外部のプログラマに委託したが、想定より小さな額であった。また、細胞内Ca2+シミュレーションを開始しているが、また、大規模シミュレーションに至っていないため、当初予定の高速なPCクラスタの購入を見合わせた。ただし、次年度にはより大きな計算資源が必要になるため、PCクラスタを購入する予定である。
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