2018 Fiscal Year Research-status Report
自動車運転者のドップラーセンサ計測信号データベース構築と運転者センシング法の研究
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17K00413
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
神谷 幸宏 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (10361742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 宏次 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (00224676)
河中 治樹 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90423847)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自動車ドライバモニタリング / ドップラーセンサ / ディジタル信号処理 / ARS |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,自動車ドライバのバイタルサインデータベースのもととなる生体計測を完了した。また,我々が提案してきた新しい信号解析アルゴリズムARSに付随するあらたな手法を多数提案するとともに,ハードウェア実装も行った。ARSのハードウェア実装では当初,Field Programmable Gate Array (FPGA)による実装を計画していたが,それよりはるかに安価で低消費電力となるマイコンによる実装を行い,実験も行った。この結果については現在,投稿準備中である。マイコンによる実装により,100Hzでサンプリングされたデータをリアルタイムで処理しながら,消費電力を6 mAまで抑えることができた。これは,現状で実現できる信号解析法の中で世界最低の消費電力となっている可能性がある。マイコンは安価な一方,計算能力に限界があるため高速フーリエ変換(FFT)をリアルタイムで動作させることは不可能である。また,固定小数点演算となるため,そもそもFFTを実現できない。 これにより,極めて安価な自動車ドライバモニタリングシステムを開発できる可能性がある。くわえて,信号処理方式ARSがもつ低周波数領域における解像度の高さについても理論的検討を行った。FFTでは低周波数領域の信号解析で高い解像度を実現するのが困難であることは従来から知られている。FFTでこれを行おうとすると,非常に多くのサンプルが必要となるためメモリや計算量が膨大となるばかりでなく,サンプル取得の段階でも長い時間がかかることになり,容易ではない。ARSは短い時間で低い周波数帯において高い解像度の解析を行うことができることを理論的にも明確にした。結果について現在,論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ARSハードウェア実装で,当初の予想をはるかに超えた成果をあげることができた。当初の段階で予定していたFPGAによる実装よりも難易度が高く,また消費電力とコストを大幅に下げたハードウェア実装ができた。FPGAによる実装も準備は完了し,その評価は完了している。マイコンによる処理により,単価を大幅に削減できる。具体的には,AD変換器内蔵の8ビットマイコン「AVR ATMEGA328P」を使用した。実勢価格は約230円となっている。ここでは演算が8ビットと限られ,しかも浮動小数点数演算は行えない。したがって,FFTをここに実装することは不可能である。整数演算で実現が可能なARSであるからこそ,こうしたデバイスによる実現が可能であることを明らかにするとともに,消費電力が6 mAであることを実験により明らかにした。これで100 Hzでサンプリングした生体データのリアルタイム処理を行っており,これは現状の段階で世界的にみても最低消費電力の周期信号解析法の実装である可能性があり,現在,論文投稿準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,上記のハードウェア実装について論文をまとめるとともに,さらなる消費電力の削減に向け,最新の低消費電力デバイスを用いて実装を試みる予定である。具体的にはルネサス製 組み込み用コントローラ「R7F0E」がリリースされることとなり,これを使用することで消費電力をさらに下げられる可能性がある。また,現状のAVR ATMEGA328Pによる実装を国際的な場へ発表すべく,論文投稿の準備中である。
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Causes of Carryover |
測定被験者への謝金として考えていた金額が,今期に実施した計測実験の分について不要となったために,この差額が生じた。この謝金については2019年度実施 分の実験において使用する。
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