2017 Fiscal Year Research-status Report
Reverse-Engineering of honey bee brain: Neural mechanisms of dance communication
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17K00414
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
池野 英利 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (80176114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藍 浩之 福岡大学, 理学部, 助教 (20330897)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミツバチ / ダンスコミュニケーション / 細胞形態 / 標準脳 / セグメンテーション / レジストレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミツバチのダンスコミュニケーションに関わるミツバチ脳神経回路の構造と機能の解明を目指し、研究を実施している。共同で研究を進める福岡大学の藍は、細胞内染色法及び免疫染色法によって、触角に対してダンス時と同様の振動刺激を与えた時に応答が見られるニューロンの形態及びシナプス特性、並びにそれらの電気応答を計測を進めた。この実験により得られたニューロンの形態画像について、池野はマニュアル操作と画像フィルタリングと形態自動追跡ソフトウェアを併用した新たな形態抽出、形態モデリングのプロトコルを開発し、この方法により振動刺激に対して応答が見られた介在細胞DL-Int1について形態の抽出及びモデリングを実施した。その成果については、現在、論文誌への投稿を進めており、このプロトコルを確立できたことで、これまで得られたニューロン画像について、効率よく、高い精度で形態の抽出、モデリングを進めていくことが可能となった。 さらに、これらのニューロンモデルを同じ座標系にマッピングし、その接続状態を解析するためのプラットフォームとなる標準脳を構築するための詳細な脳画像の撮影を行った。撮影された画像については、すでに公開されているミツバチ全脳の標準脳に対応した形で、振動刺激の受容、処理に関する脳領域の詳細な標準脳として活用できるように、関連する脳領域の抽出及び全脳画像へのレジストレーションを進めている。脳画像の処理、変換のアルゴリズム及び利用できるソフトウェアはすでに多く開発、発表されており、それらの中で我々の画像の処理に適した手法を選択し、それらを系統立て組み合わせることにより、独自の処理プロトコルを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダンスコミュニケーションに使用されている振動刺激情報処理に関与するニューロンの形態を抽出し、その形態モデルを構築するための処理プロトコルを開発した。ニューロンの形態は応答特性及びニューロン間の接続状況に大きく寄与しており、神経回路の特性を調べていく上で、基本となる情報である。細胞内染色法によって染色、共焦点レーザー顕微鏡によって取得された画像から、ニューロンの3次元形態を再構築し、形態モデルが得られることになり、標準脳にレジストレーションしていくためのパーツとして、ニューロンモデルが利用可能となった。 一方、振動刺激情報を処理していると考えられる1次聴覚領野に関する詳細な脳画像を取得することができた。この画像に基づき、1次聴覚領野およびその周辺の領域形態の抽出を行い、この部位についての標準的な脳座標系を構築していく段階となった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果として確立したニューロンの形態抽出、形態モデル構築プロトコルを振動刺激に応答するニューロンに対して適用し、これらのニューロンについて形態モデルを構築していく。さらに、関連する脳領域についての標準的な脳座標系(標準脳)の構築も同時に進めていく。これらの結果に基づき、ニューロン形態モデルを標準的な脳座標系にレジストレーションし、ニューロン間の接続状態を予測し、その結果に基づき可能性のある神経回路構造、応答特性を求める計画である。
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Causes of Carryover |
当初、学会への参加費用など旅費を計上していたが、招待講演などについては先方から負担をいただき必要としなかった。また、当初購入を計画していたデータ解析用のPCについても、新しい製品が販売されることが予測されたため、本テーマの進行に合わせて次年度に新たな専用PCシステムを購入するために予算を繰り越した。
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