2018 Fiscal Year Research-status Report
正規化・データベース化した病理DICOMの探索による術中患部移動変形計算について
Project/Area Number |
17K00420
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
渡邊 郁 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (50298832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 克彦 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 准教授 (20359855)
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
埜中 正博 関西医科大学, 医学部, 教授 (90577462)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ブレインシフト / DICOM / 変形シミュレーション / 特徴点マッピング / Unity / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、術前や術後(術中MRIが導入されれば術中)のDICOMを正規化し、それらのDICOM脳の濃淡値から粘性・弾性・剛性・塑性などのパラメータを探索し、症例・年齢・性別などを軸としたブレインシフトデータベースを作成することである。 昨年度および今年度は、脳外科手術の患者数が少なく、患者のデータセット(術前・術後DICOMペアやその術中動画像)の取得が遅れていた。そこで、その状況下で得られた数少ないペアを利用して、術前・術後のDICOM脳のセグメンテーションおよびそれらの位置姿勢合わせ、頭蓋骨・悪性腫瘍・血管のセグメンテーション、術前術後の脳内特徴点の抽出とそのマッピングを実施した。さらに、多数の特徴点マッピングデータから、ブレインシフトの発生部位を検出したり、その用途における多数の特徴点検出・マッピングアルゴリズム(KAZE, AKAZE, ORB, SIFTなど)を比較したりした。 この一方で、脳DICOMの粘性・弾性・剛性・塑性などの物理パラメータを推定し、変形をシミュレーションするソフトウエアをUnityで作成し、小規模のデータでそのソフトウェアの動作検証を行った。 そこで次年度は、患者のデータセット(術前・術後DICOMペア)の取得が進むと思われるので、患者の症例・年齢・性別からブレインシフトが事前に計算できるようなデータベースが設計できるものと考えている。そこでは、多数の患者の脳DICOMを比較・評価し、それらの特徴量を患者の個人差に依らないようにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、予期したより脳神経外科手術の件数が少なく、患者のデータセット(術前・術後DICOMペアやその術中動画像)の取得が著しく遅れてしまった。この遅れが、現在の遅れにまだ繋がっている。今年度、患者のデータセット(術前・術後DICOMペアやその術中動画像)が15件程度になった。そこで、それらにおいて、脳や頭蓋骨・悪性腫瘍・血管のセグメンテーション、術前術後の脳内特徴点の抽出とそのマッピングを実施している。また、それらにおいて、多数のマッピングデータからブレインシフトの発生部位の検出を行っている。現在の処理では、1患者当たりの処理時間は、現在1か月程度を要している。そこで、多数の患者のデータ処理の効率化も新たな課題になり実施している。 脳DICOMのセグメンテーション領域の粘性・弾性・剛性・塑性などのパラメータを基に、変形をシミュレーションするソフトウエアは一応完了しているものの、粘性・弾性・剛性・塑性などのパラメータ推定に必要な大規模データを待つ状況となっている。また計画では、GPGPUを用いた並列処理バージョン、および手術中の医師に強調して示したい器官をその進行に応じて強調色にしたり、手術に無関係な器官の透明度を高めたりする3次元可視化ソフトウエアの開発は未だ着手していない。 最後に、データベースの仕様策定は完了しているが、データ不足のため検討したいくつかの正規化手法を試すには至っていない。次年度は、患者のデータセット(術前・術後DICOMペアやその術中動画)の取得が進むので、患者の症例・年齢・性別などに依存したブレインシフトを事前計算するデータベースが設計できるものと考えている。そこでは、多数の患者の脳DICOMを比較・評価し、それらの特徴量を患者の個人差に依らないようにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
変形過程を再現するシミュレータに特徴点マッピング(ブレインシフト)を重ね合わせることで、脳変形シミュレーションのリアル化・精度向上を図る。同時に、この重ね合わせにより、粘性・弾性・剛性・塑性などの物理パラメータを正解に推定する。 また、手術中、医師に強調して示したい器官をその進行に応じて強調色にしたり、手術に無関係な器官の透明度を高めたりできる3次元可視化ソフトウエアを製作し、それらのリアルタイム性を高めるためGPGPUを用いて並列処理を行うようにする。これにより、通常のCPUで動作する(低速脳変形描画)ものをGPGPU版(高速脳変形描画)に変更する。そして、シミュレーションのリアルタイム性を評価し、切開手術がよりしやすくなるようにする。 さらに、多くの患者の脳DICOMデータをデータベース化し、症例・性別・年齢、脳DICOM画像を元に、多くのブレインシフトを正規化するソフトウエアを開発する。現在、データベースは患者の症例・年齢・性別、脳DICOM画像、特徴点3次元画像からなるが、もっと多くの種類の有意なデータを取り扱えるように、データベースの拡張性も併せて検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度、予期したより脳神経外科手術の件数が少なく、患者のデータセット(術前・術後DICOMペアやその術中動画像)の取得が著しく遅れてしまった。この遅れが、現在の遅れにまだ繋がっている。必要な情報機器を早く購入するより、予算の使用を遅らせより高性能なもの発売を待ったほうがよく、特に使用を急ぐ必要はない。今年度、患者のデータセット(術前・術後DICOMペアやその術中動画像)が15件程度になった。そこで、それらにおいて、脳、頭蓋骨、悪性腫瘍及び血管のセグメンテーション、術前術後の脳内特徴点の抽出とそのマッピングを実施している。また、それらにおいて、多数のマッピングデータからブレインシフトの発生部位の検出が可能となる予定である。この検出手法に対しての論文作成および国際会議発表費用および旅費として使用する予定である。 脳DICOMのセグメンテーション領域の粘性・弾性・剛性・塑性などのパラメータを基に、変形をシミュレーションするソフトウエアは一応完了しているものの、粘性・弾性・剛性・塑性などのパラメータ推定に必要な大規模データを待つ状況となっている。また計画では、GPGPUを用いた並列処理バージョン、および手術中の医師に強調して示したい器官をその進行に応じて強調色にしたり、手術に無関係な器官の透明度を高めたりする3次元可視化ソフトウエアの開発を進めるととも必要な機材を購入し、研究を進める予定である。
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