2018 Fiscal Year Research-status Report
Service scientific study of operations management for patients in a hospital
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17K00435
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高木 英明 筑波大学, システム情報系(名誉教授), 名誉教授 (30260467)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医療・福祉サービス / 手術情報管理 / サービス科学 / データサイエンス / 待ち行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に協力をいただいた横浜市南部地域の中核病院である横浜南共済病院(病床数565床)では,毎週の手術室スケジュール情報を関係者が共有する簡便な手段として、各手術について、診療科の医師による手術申込のオーダーと患者情報をまとめた手術予定表が使われているが、その作成は手作業で行われ、看護事務職員と手術室看護師の大きな負担になっている。電子カルテが導入された際に、週間手術予定表の廃止が検討されたが、その使いやすさから継続が強く望まれ,現在に至っている。 研究代表者は、同病院における手術室スケジューリングの効率化のために(本事例が他の病院でも役立つことを期待して)、この作業の自動化に取り組んでいる。自動化の中心作業は、電子カルテに記載された診療報酬上の術式名や手術部位等で書かれた手術オーダー(以下で,申込術式と呼ぶ)から手術予定表の枠内に記入する簡易術式名称(以下で,予定術式と呼ぶ)の生成である。それに、患者情報を圧縮して追加する。術式変換は、過去の手術における術式変換の事例から1文字ずつの出現度数分布表を作り、Bayesの定理の方方法を応用して、与えられた申込術式から予定術式を予測する方法をExcelで実装した。ユニグラム処理なので、形態素解析は必要なく、医療用語の辞書等も使わない。本年度は、外科(呼吸器外科と乳腺外科を含む)手術を取り上げた。特に、1つの手術が複数の術式から構成される場合(例えば「ラパロ下低位前方切除+人工肛門造設」)に、術式単位で分解→変換→合成し、それに患者情報等を付加して手術予定表のエントリーを作るという一連の実用的操作を行うExcel関数を開発した。また、日進月歩の先進的手術技術に伴い、新しい術式名が現れることに対する対処法を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
横浜南共済病院の協力を得て行った手術室スケジュール表の自動作成に関する研究は、2016年4月から始め、2019年3月までで一旦終了した。この間の研究成果については、同病院手術室の北川郁代看護師長との共著により、下記4件の研究発表をした。 [1] 高木英明・北川郁代・繁野麻衣子,急性期病院の手術予定作成における術式指定の自動化の試み, サービス学会第6回国内大会,オーラルセッション論文4-4-02 (9ページ),明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区),2018年3月10~11日. [2] 高木英明・北川郁代,急性期病院における手術予定作成での術式指定の自動化-泌尿器科手術での試み-,日本手術医学会誌,第39巻増刊号,p.115,平成30年9月30日発行. 第40回日本手術医学会総会,ホテルイースト21東京(東京都江東区),2018年10月12~13日;日本手術医学会誌,第39巻4号,pp.227~229,平成30年11月に掲載された。 [3] 高木英明・北川郁代・繁野麻衣子,急性期病院における週間手術予定表の自動化の試み,サービス学会第7回国内大会,オーラルセッション論文B-2-02 (7ページ),東京工業大学大岡山キャンパス(東京都目黒区),2019年3月2~3日. [4] (投稿中)高木英明・北川郁代,急性期病院における週間手術予定表作成の自動化に向けて-外科手術での試み-,第41回日本手術医学会総会,東京ドームホテル(東京都文京区),2019年9月27~28日. サービス学会での発表は、医療言語処理の観点から、また、日本手術医学会での発表は、手術室を担当する麻酔科医師や看護師から質問があった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、神奈川県立がんセンター臨床研究所において、嘱託研究者として研究環境を与えられ、同センターの病院における患者のオペレーション・マネジメントに関する研究を始めた。今後は、病院の枠を超えて、公共医療サービスの効率化に貢献することを目指し、システム科学的方法を開発することをも模索したい。 また、本研究課題が関わる医療機関のオペレーション・マネジメントの研究を我が国で広く推進することを目的として、2019年4月に、日本オペレーションズ・リサーチ学会に「ヘルスケアのOR」研究部会を設立し、主査に就任した。この研究部会では、OR研究者とヘルスケア・サービスの現場にいる研究者が交流を重ね、病院経営と医療・ヘルスケアの実測データに基づく理論、アルゴリズム、数理モデル化等の研究を推進し、我が国の課題に応えるORの新たな応用分野を開拓する。医療をはじめとするヘルスケア分野における研究者と実務家の討論や関連学会での共同研究発表を通してOR研究の普及を図る。
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