2018 Fiscal Year Research-status Report
長距離移動マタニティの課題を起点にしたへき地の周産期・子育て環境支援システム構築
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17K00439
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
皆月 昭則 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (90363712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 妊婦 / 母子手帳 / アプリケーション / インターフェイス / スマートフォン / 位置情報 / GPS / 周産期 |
Outline of Annual Research Achievements |
開発したアプリケーションについて、機能検証のためにダウンロードサイト(Tsunagu NEXT Project)からAndroid版とiOS版を配布してアンケートを実施した。アプリケーションは、妊婦支援そして配偶者・家族とつながる各種機能である。アンケート方法は、メールとSNSアプリのLINEを使用して、ダウンロードサイトとアンケートサイトの両方のリンクを貼り、医療者4名と非医療者30名から回答が得られた。回答は5段階で、次の質問である。新規作成や出産予定日の入力はスムーズに行えましたか。チュートリアルはスムーズに読み進めることができましたか。アプリ内で表示されるメニューの意味はすぐに理解できましたか。妊娠期の情報(◯ヶ月目のお母さんへ・妊娠中にさけたほうがいいものなど)は役に立つと思いますか。陣痛時間の記録は役に立つと思いますか。妊娠期の経過の記録は役に立つと思いますか。電話帳機能は役に立つと思いますか。アプリは役に立つと思いますか。機能やデザインはいいと思いますか。各質問の回答結果は平均4.25~4.75の高評価であった。ご意見等あれば、ぜひご自由にご記入くださいという記入で、指摘意見等要望では「妊娠中の胎児の写真や絵をのせたり、鉄分などを摂取出来る簡単なメニューなどを紹介するのも良いのではないかと思いました」、「初見ではイラストのメニューがわかりにくいため、[タイム・陣痛・電話]などの単語が併記されていればより良い」、「システムを有用に使う人にはすばらしいと思いますが、そういった人はシステムが無くても勉強して自己管理をすると思います。逆に、自己管理できない人には使ってほしいアプリですが、そういった人が使いたい・使いやすいと思えるほどわかりやすいものではなかったと思います」という指摘意見で、ユーザーインターフェースの検討や追加機能が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊婦を支援するためのアプリケーションの開発と各種機能を評価した。アプリケーションの画面は、主要機能を考慮して①~④の4つの画面領域に設定した。①学習機能画面では、妊娠週数に応じた情報(1ヵ月ごと)や、妊娠中の注意点や疑問点を具体的にまとめた情報、妊娠後期への備えや陣痛に関する基礎知識、アプリケーションの注意点などを学習できる。学習機能画面では、項目を一覧表示化して、各項目をタップすると、詳細表示することが可能である。学習内容は、医療関係者の知見を得て作成した。②陣痛測定画面では、陣痛時の際の測定・痛みの強さ(NRS尺度)の入力、グラフによる可視化閲覧、間欠時間の評価を導出することができる。評価は「陣痛間隔が不規則です、前駆陣痛だと思われます」のように吹き出し表示される。陣痛測定画面では、ボタン操作で測定開始と停止が可能で、痛みの強さの入力記録も可能である。痛みは妊婦の主観的感覚入力であり、痛みデータがクラウドに保存される。③記録確認画面では、妊娠期の記録の保存・閲覧、陣痛の各種データの閲覧・検索、メモの作成ができる。記録確認操作では、「記録の追加」メニューで、母子手帳の記載事項と同じ項目を入力することができる。入力が完了したのち、「追加」を押すと記録がクラウドに保存される。記録確認画面における陣痛データ一覧では、保存された陣痛データを一括表示できる。データの検索機能は、現在の時刻から何時間以内か、痛みの強さが、その時間帯で、どの程度だったのか、という2つの検索項目のうち、どちらか一方または両方を入力し、検索ボタンを押すことで、時間の粒度と痛みの強弱度に対応した検索が可能になっている。④電話帳画面では、連絡先の追加、追加した連絡先への電話の発信をすることができる。電話帳画面の発信は「発信」ボタンで電話発信が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
アプリケーションは、妊婦支援そして配偶者・家族とつながる機能を重要視している。現状では①学習機能画面で、妊娠週数に応じた情報・アプリ使用時の留意点の閲覧、②陣痛測定画面で、陣痛時間の測定・保存、グラフによるデータの視認、③記録閲覧画面では、陣痛データの閲覧、妊娠期の経過の保存・閲覧、④電話帳画面では、連絡先の保存・発信が可能である4画面に集約した機能を開発した。アプリのアンケートの自由記入では、「使いやすいアプリでした」、「初産の妊婦さんにオススメ」、「アプリの色つかいやイラストが柔らかく」、「不安な妊婦さんの気持ちを和らげそう」、「家族で情報共有出来るのもとても良いと思う」などもあるが、機能の検討と改良が必要である。また、つながる機能の開発では、位置情報データの取得が可能になっているが、位置情報データの利活用が課題である。開発したアプリケーションの④電話帳画面のGPSボタンを押すと、現在位置の経度・緯度および更新ボタンで再取得できるように実装したが、どのように活用するのか検討するため、数種のアプリケーションを開発して検証する。開発アプリケーションの使用は、妊婦から育児までの期間を対象にしている。緊急連絡の際の妊婦の位置情報は、電話機能の音声とGPSデータ取得が可能であるが、GPS軌跡を個人から集団で共有する機能も検討する。親子から他者のつながりを想定した場合、位置情報共有を検討する必要がある。開発要件は、GPS精度誤差平均50~200m(同期外れによる明らかな誤差を除く)を考慮するなど、条件によっては、精度誤差平均3~5mや携帯キャリアによる測位レベルの状態で50m未満であるという公表資料など、GPSデータが利活用できる状況を調査整理する。位置情報と可視化する地図情報および移動情報を用いる妊婦・育児支援アプリケーションを研究開発する。
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Causes of Carryover |
2018年9月に開発用のメインコンピュータが故障して使用不能になった。北海道の震災の影響があり、代替えのコンピュータの納品の遅れから、研究開発と検証評価が遅延した。
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Remarks |
開発アプリケーションのダウンロードが可能
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Research Products
(8 results)