2018 Fiscal Year Research-status Report
学習価値を高めるコンテキスト共有プロセスの解明とその授業実践を支援するツール開発
Project/Area Number |
17K00440
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木見田 康治 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (60632495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松居 辰則 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20247232)
村松 慶一 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (30634274)
石井 隆稔 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 研究員 (40741591)
下村 芳樹 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (80334332)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育サービス / サービス工学 / コンテキスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「学習の価値を規定するコンテキストとその共有プロセスの解明」と「コンテキストの共有プロセスを支援するツールの開発」である。この目的を実現するために、平成30年度は、主に(1)教師と学生とのコンテキストの共有プロセスの解明と、(2)コンテキストの共有プロセスを支援するツールの開発を行った。
(1) 教師と学生とのコンテキストの共有プロセスの解明:文献調査にもとづき、教師と学生間でコンテキストカテゴリを共有するために必要なメタ認知的知識やメタ認知的活動に関する仮説を生成した。そして、この仮説にもとづきメタ認知方略を用いた授業を設計、実施するための予備実験を行った。具体的には、介護現場においてセラピーロボットを使用するための教育コンテンツを作成し、現場従業員や福祉系の学部に所属する学生に対する研修を行った。その結果、学習の動機付けや、セラピーロボットを用いたケア実施時における行動において、一定の効果が確認された。また、本研究の成果を教育以外の分野におけるサービス設計に適用するための汎用性の検証も行った。具体的には、コンテキスト共有に関する知見をもとに、新たな決済サービスのプロトタイプを構築し、実際の飲食店において顧客と従業員間で当該サービスを使用するコンテキストを共有するための実証実験を実施した。 (2) コンテキストの共有プロセスを支援するツールの開発:上記の仮説にもとづき、教師が学生のコンテキストを把握するためのツールのプロトタイプを開発した。本ツールでは、教師と学生間で共有すべきコンテキストと、共有するための方略に関する情報のセットを時系列で記述する。これにより、授業の各段階において共有されたコンテキストとその共有方法を形式知として管理可能になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被験者との調整等、予備実験の準備に当初の予定よりも長い期間を要したため、研究成果の発表に遅れが生じている。そのため、学生アルバイトを増員することでデータ分析の期間を短縮する等の対策を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られた知見を実際の授業に適用することにより、学習の価値を共創する教育サービスの実践方法を構築する。 具体的には、メタ認知方略を用いた授業を設計し、実施する。従来の教育研究が、教師か学生のどちらか一方に着目し、効果的な教授あるいは学習を追究するものが中心的であるのに対して、本授業は、価値共創の視点にもとづき、教師と学生とのコンテキストの共有により、学習の価値を合意することで、適切な教授行動と主体的な学習行動の双方を促すことを目的とする。本授業は、演習型のグループ学習を想定し、授業の映像や発話、授業アンケートなどデータを収集し、知識・スキルの獲得(獲得価値)や、課題の楽しさ(興味価値)、職業的な目標への寄与(利用価値)などの学習の価値と、関連するコンテキストの共有度を分析する。さらに、開発した支援ツールによるコンテキスト分析も実施し、その効率性を評価することで、支援ツールの有効性を検証する。最後に、上記の実験により得られたのコンテキスト共有プロセスを踏まえ、開発した支援ツールを用いた教育サービスの手順化を行う。 また、これまでに得られたコンテキスト共有に関する知見は、教育分野以外のサービス設計に対しても適用可能である。そのため、今後は、様々なサービス設計に対する適用可能性についても検討する。具体的には、上記のコンテキスト共有プロセスを活用したサービス設計に関するワークショップ等を実施する。
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Causes of Carryover |
被験者との調整等、予備実験の準備に当初の予定よりも長い期間を要したため、研究成果の発表に遅れが生じており、予定していた学生アルバイト代や会議参加費を翌年度に使用することになったため。
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Research Products
(2 results)