2018 Fiscal Year Research-status Report

地域とともにつくる地方仏の映像アーカイブとその普及・活用に関する研究

Research Project

Project/Area Number	17K00468
Research Institution	Sugiyama Jogakuen University
Principal Investigator	見田隆鑑椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (30634365)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	栃窪優二椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (60465507)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords	仏教美術 / 映像制作 / デジタルアーカイブ / 地域連携 / 文化財 / 保存・活用 / 明王
Outline of Annual Research Achievements	平成30年度は、地域との連携による映像制作として昨年度に引き続き大府市歴史民俗資料館と連携し、常福寺、大日寺、浄通院、円通寺にて計4本の映像作品を制作し、椙山女学園大学のYouTubeチャンネル及び「地域文化・仏像バーチャルミュージアム」のホームページ上に情報公開をした。撮影する寺院および撮影対象については大府市歴史民俗資料館の学芸員を中心に選択と撮影の交渉をしていただいたが、秘仏となっている尊像については信仰上の理由から撮影許可が出なかった為、その前立を撮影する形となった。また、平成30年10月17日に大府市役所にて行われた知多地方文化財保護委員会連絡協議会の研修会で、大府市文化財保護委員を務めている研究代表者（見田）が、「映像アーカイブで伝える大府市内の仏像」と題する報告を行い、大府市との連携による映像制作について他の地域の文化財関係者に紹介し、これまで制作した作品を上映した。平成30年秋から一宮市博物館と撮影交渉を初め、一宮市にある妙興寺の仏像に関する映像制作を進めることとなった。平成31年2月に一宮市博物館の学芸員および寺院関係者の立ち会いの下、妙興寺の仏殿、開山堂、方丈、山門に安置される仏像の撮影を行い、計5本分の撮影を終えた。現在、ナレーションの収録・編集作業を進めており、仮映像を関係者で確認した後、速やかに公開する予定である。研究代表者（見田）の研究対象に関係した映像制作として、平成30年度は2本の映像作品を制作し公開した。一本は、東京都西多摩郡奥多摩町にある将門山不動尊に安置される木造伝三面不動尊立像、もう一本は兵庫県神崎郡市川町にある笠形寺に安置される木造不動明王立像、木造兜跋毘沙門天立像、木造観音立像に関する映像である。いずれも研究代表者（見田）が事前に調査を実施し、映像作品の制作とともに調査から得た知見を計2本の論文として発表した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 愛知県大府市との連携による映像制作は今年度で2年目となり、寺院への交渉、現地での撮影ともに順調に行っていくことができた。ただし、撮影対象については文化財指定を受けた仏像と言えども、信仰上の理由から撮影及び映像の公開については理解を得られない対象もあり、この点については対象が礼拝対象である仏像であることから致し方ないと考えている。また、今年度、一宮市博物館との連携により、妙興寺に安置される仏像の撮影を行うことができた意義は大きい。これまで愛知県稲沢市を起点として映像アーカイブを制作してきたが、一宮市も尾張地域の仏教文化を語る上で貴重な文化財を有する地域であり、妙興寺での撮影を出発点として一宮市内の文化財の映像アーカイブを今後継続的に制作していくことが出来れば、より有意義な映像アーカイブを構築していくことが出来るだろう。また、研究代表者（見田）が研究対象とする明王像に関する映像制作においても、本年度実地調査を行った東京都西多摩郡奥多摩町の将門山不動尊、兵庫県神崎郡市川町の笠形寺において映像作品の制作についても理解を得ることができ、記録を残し、公開することができた。この2カ所については行政との連携で行ったものではないが、将門山不動尊では講の関係者、地域の観光ガイドの方たちの協力を受け撮影が可能となった。特にこの2カ所については関係者へのインタビューも合わせて記録することができ、それぞれの環境の中での仏像のあり方を記録することができたように思う。以上の点から、本年度については昨年度に引き続き概ね順調に研究活動が進展したと言える。
Strategy for Future Research Activity	平成31年度は本研究課題の最終年度にあたる。愛知県大府市との連携については過去2年間に引き続き継続して映像制作を進めて行く予定であり、平成31度も4本の映像制作を進めることを目標とする。また、一宮市博物館との連携も積極的に図り、妙興寺の塔頭寺院に安置される仏像の映像制作をはじめ、市内の撮影可能な仏像について映像制作を継続していきたいと考えている。合わせて昨年度に引き続き、研究代表者（見田）の研究対象である明王像に関する映像制作も継続していく予定である。年度内に計6～8本程度の映像作品を新たに制作・公開していきたいと考えている。また、本年度が本研究課題の最終年度にあたることから、これまで映像制作を行ってきた愛知県稲沢市での活動をはじめ、制作した映像作品がどのように活用されているのか、どのような効果があったのか等について事後評価（大府市については中間評価）を受けるようにし、その内容を今後の活動にも反映させて行けたらと考えている。また、研究代表者（見田）、共同研究者（栃窪）の共著の形で平成31年度は本研究課題に関する研究論文も執筆する予定である。
Causes of Carryover	本年度中に撮影を予定していた内容が次年度に持ち越しとなった為、その分の費用を残す形となった。繰り越した費用については次年度の撮影及びその準備において使用する予定である。