2018 Fiscal Year Research-status Report
聴衆のフィードバックを集約する教材配信・蓄積システム
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17K00484
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
梅村 恭司 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80273324)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 反転授業 / ビデオアノテーション / 遠隔教育 / ビデオ教材 / 教育工学 / 教育システム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に実現したオフライン型での受講者のフィードバックシステムについて、映像のインフラを自前のものから、多くの受講者に対応するための実装ををやりなおした。その上で、実証の追加と、逆方向のフィードバックの機能の設計と実現を行った。 外部発表としては、教育システムそのものの評価に関する発表と、システム内部でつかっている基礎アルゴリズムの発表がある。システム評価についてはIEEE exploreに索引つけされる国際会議に発表し、その会議での3編選ばれた優秀論文のひとつとなった。論文の主たる貢献は、授業のまえにビデオ学習の時間をとり、授業では復習をするという反転授業の状況において、ビデオ学習の様子を講師に伝えることは重要で、それをサポートするシステムなっていることである。この論文をアーカイブにアップロードすることで、Flipped Learningの提唱者のJohn Bergmanから、システムの詳細を問い合わせる連絡がきたので、英語版も作成し、デモを行った。基礎技術は統計的な手法による判断を行うための工夫である。こちらは、ジャーナル論文の成果につながった。 実証実験については、準備と実施にわけられる。まず、受講者がコンピュータではなくて、携帯端末を使用するケースが多いと想定し、そのための改善をおこなった。そのうえで、開発組織とは別の組織の東京高専の数学の授業で使用した。その経験から、授業教材にたいして情報をあらかじめ追加しておくことのアイディアが生まれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目標において、もっとも重要な目的である、講師と受講者との共通の場をつくるという目的については、達成できる見込みであるが、当初、想定した実時間でのシステムで、大規模な実験ができることを実現できていないという点が当初の計画とは異なるところである。 本年度の進捗としては、講師側から受講者へのフィードバックについて検討が完了したことが大きい。前年度のシステムが、受講者にとって問題がある部分や重要と感じられた部分を講師に伝えることができていたので、本年度は講師にとって強調したいことや、教材ビデオを見始めるまえに全体の構造がみれるようなものを想定し、講師が教材に対してアノテーションを行えるようにし、その機能の効果を試験的な授業を行うことで測定した。その結果、システムの改善につながったという結果がでたので、これは次年度に発表するように計画している。 このように、申請書での着眼点であった項目の、「受講者と講師の共有の場」について、教材ビデオのアノテーションという形態で具体的に示すことができ、まだ、未発表であるがそれが効果があるという最初のデータが得られている。また、現状のシステムは海外からも注目されるものとなり、反転授業ということは当初、想定していないものであったが、むしろ、そこでの問題に取り組むことにより、広く研究成果がつたわる状況になっている。この方針変換にともなって、残りの予算は、端末設備よりは、対外的な活動と、教材作成のための映像機器に充当することが妥当とかんがえている。
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Strategy for Future Research Activity |
実時間というシステムに執着しないで、現状のビデオを中心としたシステムに注力し、多くの状況で使用して、システムの完成度をあげるという方針とする。この根拠として、現状の実時間でないシステムが、「反転授業での予習」という設定にあてはまり、反転授業というこれからの授業携帯や、オフラインの授業という状況はむしろ、最初の提案よりも社会へのインパクトが強いように感じられるので、オフライン(ビデオ視聴型)教育での、受講者と講師の間でのフィードバックの形態という観点から、情報を整理し、次の研究につなげるべきと考えている。同時に、ユーザからのフィードバックの重要性を判定することが、提案する共有の場を構成する上で重要な技術であるので、統計的な基礎として貢献できる技術もさらに研究を深めたい。
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Causes of Carryover |
実時間の配信システムを使った実験のための端末設備を計画していたが、作成したプログラムでは、十分な性能がでないために、実験の端末設備の購入をみあわせている。次年度は、端末設備ではなくて、ビデオ教材を作成するための設備を種に充当して、教材の作成を促進し、研究成果のシステムを多くの場所で使えるような環境整備を行う。
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