2017 Fiscal Year Research-status Report
多様な学習者に対応する情報倫理オンライン教育の開発と運用
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17K00485
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 浩 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (30375159)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | e-Learning / 情報倫理教育 / Moodle |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,多様な学習者がモチベーションを維持しつつ,様々な端末で学習できる情報倫理オンライン教育の提供を目指し,これまで申請者が行ってきた,標準化を目指したコンテンツを多言語で持続的に提供する取り組みを発展させるものであり,具体的な研究項目と今年度の実績は以下の通りである: (1) 多様な学習者への対応については,前提となる知識の多寡に応じコンテンツの提示方法を変更するための枠組みの実装と運用を行った. (2) 学習者のモチベーションの維持に資するコンテンツデザインの検討については,コンテンツ再生速度をユーザの所望の速度にすることを検討し,今年度は2倍速再生機能の実装と運用を行った. (3) Universal Access の実現について,スマートフォンに対応するための検討を行ったことに加え,コンテンツ配信形式について検討を進めた. 今年度までに本研究の成果となる学認連携Moodle (https://security-learning.nii.ac.jp/) 上で実運用しているオンラインコースには102の大学から20,000以上のユーザに活用されている.同システムは,利用者の増加に対応するため2017年4月に新プラットフォームへの移行を行った.加えて,同システムに蓄積されているデータをコース改善に有効利用することを目的とした,LMSのデータ分析のフレームワークを含めた次期新プラットフォームの検討を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているとする理由は以下の通りである. (1) ユーザの知識に応じたコンテンツを提示する方法を実装し実運用を行ったことで,コンテンツ開発とLMSとオンラインコース運用ノウハウを蓄積できた.加えて,国立情報学研究所 高等教育機関における情報セキュリティポリシー推進部会の委員としての活動として,コンテンツの大規模改訂を前提とした標準的な教育内容の定義に関する調査に基づいて次期コンテンツで取り上げるトピック案を策定した.また,教材を運用している学認連携Moodleにおけるコースデザインの評価に関し,2017 KES Conference にて研究発表を行った. (2) 学習者のモチベーションの維持の一要因となるコンテンツ再生速度について具体的なソリューションを提示した (3) Universal Accessの実現の検討のためユーザの声を集約する枠組みを確立した.ユーザの声を含むLMSのデータ分析に関し,IEEE COMPSAC ADMNet Workshopにおける Invited Talk で成果を発表した.加えて,LMSのデータ分析環境を含むシステムの検討を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題が目指す,多様な学習者がモチベーションを維持しつつ,様々な端末で学習できる情報倫理オンライン教育の提供の実現のため,今年度と同様の取り組みを今後も推進していく: (1) 多様な学習者への対応については,前提となる知識の多寡に応じコンテンツの提示方法を変更するための枠組みの運用により蓄積されているデータの分析を行い,本手法の評価を行う. (2) 学習者のモチベーションの維持に資するコンテンツデザインの検討については,コンテンツ再生速度以外の要素があるかどうか検討する. (3) Universal Access の実現について,スマートフォン対応のための具体的実装に着手する. 加えて,本研究課題に関連する他研究課題との連携を進めるための体制を整える.
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Causes of Carryover |
(理由) 2017年9月まで在外研究のためスイスに滞在したため,申請時に出席を予定していたヨーロッパ開催の国際会議への旅費の執行額が少なくなった. (使用計画) 適切な旅費の執行計画に基づいて研究発表を行う.
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