2020 Fiscal Year Research-status Report
Development the system for comprehension degree measurement and learning support using student's self review
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17K00502
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Research Institution | Kyushu Institute of Information Sciences |
Principal Investigator |
大浦 洋子 九州情報大学, 経営情報学部, 教授 (70122695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 俊朗 九州情報大学, 経営情報学部, 名誉教授 (80315150)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 理解度測定 / 学習振り返りコメント / テキスト分析 / 測定指標 / 特徴語 / Jaccard係数 / 前提確率 / 学習支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
大学教育における「学生の質の向上」は重要なテーマの一つであり,学習理解度と質の向上は関連性が深い.これまでに代表者らは,学習内容の記述文章いわゆる学習の振り返りコメントをテキスト解析することで抽出されたキーワードをコレスポンデンス分析にてグループ化し,それらが最終成績と深い関連性があることを示した. 本研究の目的は,期末試験などの最終段階で学生の理解度を測定する従来の方法ではなく,学期の途中で理解度を分析し,学習の進捗状況を早期に把握することである.この効果は,学生が苦手とする学習内容や理解に乏しい単元をリアルタイムに見出すことで,教員が丁寧な説明の追加や異なるアプローチの提案を学生に行うことが可能となる.これまでの理解度測定方法としてミニテストなどの実施が考えられるが,問題の作成や採点など教員側にとっても負担は大きく,課題に対する学生自身の深い思考や問題意識を測定することは難しい. 本研究では,講義ごとに実施する理解度に関する記述文章を利用してテキスト解析を行った.テキスト解析で得られる特徴語をJaccard係数で表し,クラス全体の特徴語とグループ毎の特徴語を測定することで,学習能力や学習態度の違いを明らかにし,最終成績順と教室の着席位置で5組にグループ化した.それぞれのグループには似たような傾向があり,最終成績と着席位置には関連性あることを示した.多くの学生は,学習に対する十分な能力を持合せているが、学習に対する熱意や好奇心の差異として表れていることが分かった.また,両者に共通することは,成績中位のグループは講義の範囲内で解答しがちであるが,成績上位のグループこれまでに得た知識を使い範囲外の発想をしながら期待されている以上の解答をすることが分かった. この様に,文章の質や量は選択式では得られない学生の能力を測定できることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに,講義の初期から学期末までの学習過程における理解度測定の予備分析を行い,講義期間中における学生の座席位置と最終成績には統計的な有意性が認められた.また,理解度測定に有効な指標を得るために,最終成績の上位から5つのグループに分け,各グループの特徴語を表すJaccard係数Jと,全体の特徴語を表す前提確率Aによる類似性のパターンを数値で示した. また,この指標が表す具体的な傾向について成績の高位グループは,下位グループよりも広い視点から学んだことについて報告する傾向があり,質問を客観的捉え当該授業に拘らず,これまでの学習成果と関連付けながら解答する傾向があり,特徴語は幅広く多岐に亘る.中位グループは,設問の範囲内で解答する傾向があり,下位グループは,質問された内容にほとんど注意を払わない傾向があった. このテーマの応用として,研究論文の評価に関する分類を行った.国際会議に投稿された論文の特徴を表す単語の指標 FSidx(p)を導入した.投稿されたfull paperとshort paperはページ数による分類がなされるが,導入した FSidx(p)による分類との相違を評価した.132の論文で検証したところ,ページ数による分類精度は0.87,本指標では0.886となりその有効性を示せた.論文の様に分類が困難なケースでは,使用単語の特徴を表す指標を用いてその文章を区分することが可能であることを示した. Minami, T., and Ohura, Y. , An Analysis on Differences of Word Usage between Full and Short Conference Papers, 9th International Conference on Intelligent Computing and Applications, 2020.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,最終成績の評価と授業ごとの振返りレポートに使われる言葉には強い相関があることを示した.成績順に5グループに区分し,各グループの特徴語を表すJaccard係数Jと,全体の特徴語を表す前提確率Aによる類似性のパターンを示すことで,学生のレポートは成績と深く関連し,理解度に次のような特徴があることが分かった.高位レベルのグループはこれまでの学習成果と関連付けながら広い観点から解答する傾向があり,特徴語は幅広く多岐に亘った.また,中位レベルのグループは設問の範囲で解答に気を配る傾向があり,下位レベルのグループは,質問された内容にほとんど注意を払わなかった. 本研究の目的は学習内容の理解度測定であるが,その先には理解度を向上させる目的もある.理解度は文章の出来栄えと関連性が強く,ライティング技術を向上させるために良い文章の特徴を明らかにして学生をサポートすることである. 本研究の応用として,国際会議などに投稿された論文の特徴について研究を行ったてきた.論文は査読者によって評価されその完成度は高いが,その中でも優れた論文が存在する.full paperとshort paperの2つのグループに対して,full paperの方が完成度が高いと位置づけられているが,その分量による違いだけでなく,使用された単語の特徴からその区別を明確にできる指標を導入し,その特徴から完成度の高い論文の構造を明らかにする予定である. 現在,2つのグループに共通する単語に関する指標 FS_comm(w) と,論文の共通性に関する指標 FS_comm(p) を導入し,full paperとshort paperの区別ができた.これによって,高評価の論文を書くために効果的に使用される特性を見つけることで,研究者はもとより,学生に対して論文執筆の指導に有益となるヒントを見出すことを目指す.
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Causes of Carryover |
2020年2月にオーストラリアのCentral Queensland University(Brisbane)で開催予定であったICICA2020が,新型コロナウイルスの影響で同年6月に開催時期が変更されました.航空機の手配を済ませていましたが,最終的にはリモート開催による形式に変更されました.予定していた旅費の予算は大幅に減少し,次年度使用が生じました.ただし,航空機の費用については当該航空会社の倒産により振り込み済みの138,868円は返却が叶いませんでした. 2020年度は新型コロナウイルスの終息やワクチンの接種が実現せず,国際会議はリモート開催が主流となり,117,113円を繰り越すこととなりました. 今後,2021年6月に開催される The 10th International Conference on Intelligent Computing and Applications (ICICA 2021) において "To Distinguish Full and Short Papers using Commonness of Words" を発表予定しており,登録料として500 USDを使用します.その後,現在の研究成果をもとに年度末までに国際会議のリモート参加の登録料を支払う予定です,
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Research Products
(2 results)