2017 Fiscal Year Research-status Report
Performance Design of Violin-playing Robot for Expressing Timbre
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17K00513
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
渋谷 恒司 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20287973)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 演奏設計 / バイオリン演奏 / ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオリン演奏の熟練者1名を対象に演奏実験を行った.実験では,簡単で短い楽曲2曲を,普通,明るい,暗いの3種類の音色となるように弾きわけてもらった.その際,音量変化で音色を変化させてもらうよう指示した.また,同時に演奏者へのインタビューを行い,どのような意図で演奏を変化させたのかを調べた.演奏音は騒音計で計測し,音量を算出した. 演奏音を,曲全体,フレーズ,一音それぞれに着目して分析した結果を以下に示す.まず,演奏全体で見ると,「明るい」を意図するときは,演奏開始時に急激に音量が上昇するのに対し,「暗い」では緩やかに上昇することがわかった.次にフレーズに着目して分析したところ,「明るい」の演奏時は,フレーズごとに音を切るため,音量が下がるのに対して,「暗い」ではフレーズ間で音を連続して弾くため,そのような音量の減少がないことがわかった.更に,ある一音に注目したところ,「明るい」は急激に上昇し,「暗い」は緩やかに上昇することがわかった.以上のような,分析結果を基に,演奏全体,フレーズ,一音において,それぞれ音量をどのように変化させるべきかを考察し,その設計方針を提案した. また,ロボットハードウエアについては,制御システムを見直した.従来の制御システムは,1台のPCで全て制御していた.本研究におけるロボットは腕の自由度が合計で14あり,制御のプログラムが大きくなりがちで,そのメインテナンスが困難になりつつあった.以上のことから,モータの位置制御システムについては小型のマイコンに置き換えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,当初の予定通り主に音量変化に注目して熟練者の分析を行い,音量変化に関する演奏設計方法を提案できた.また,ロボットの制御システムの更新も行うことができた.ただし,被験者の数を増やせなかったことと,ロボットの制御プログラムが未完成であることから,おおむね順調と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,音量以外のパラメータ,特にテンポとビブラートに着目し,演奏者の分析を行う予定である.その上で,音量,テンポおよびビブラートをどのように設定すれば望みの印象をもつ音が生成できるのかを明らかにしたいと考えている.また,ハードウエアについては,引き続きソフトウエアの構築を行い,提案した演奏設計方法に基づく演奏の実現を目指す.
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Causes of Carryover |
主に以下の理由による.(1)よりよい音の生成が期待できる比較的高額のバイオリンの購入を予定していたが,演奏するロボットの完成にもう少し時間がかかるため,購入を見送ったため.(2)演奏実験の被験者を,分析方法の確立に時間がかかり,当初予定より少ない1名としたため.(3)(2)で述べたように,実験結果の分析方法確立に時間がかかり,国際会議や雑誌論文の執筆が2017年度末に間に合わなかったため. 次年度は,バイオリンの購入を予定し,被験者の数を増やすことを予定している.また,国際会議に投稿中であり,論文執筆も進めている.旅費,参加費,英語校正代,掲載料等の支出を予定している.
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