2018 Fiscal Year Research-status Report
自動車排気ガス由来の亜硝酸(HONO)排出係数の算出
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17K00515
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中嶋 吉弘 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20419873)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 亜硝酸 / 自動車排気ガス / 排出係数 / 光化学オキシダント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では申請者が製作した亜硝酸(HONO)測定用広帯域キャビティ増幅吸収分光法(IBBCEAS)測定装置を用いて、亜硝酸(HONO)の人為起源直接排出の一つである 自動車排気ガスに着目し、自動車排気ガス中のHONO濃度を測定することでHONOの排出係数を算出する。現在国内で生産および使用されている自動車を対象とし、 車種・年式・燃料などの異なる車両を対象に、排気ガスからのHONOの排出係数の差異に関する知見を得る。 2年目はディーゼルエンジンを搭載した自動車(普通乗用車)およびディーゼルトラックを対象としたHONO濃度測定と排出係数の算出を行った。測定の結果ディーゼル自動車排気ガス中のHONO濃度測定と排出量の算出に成功した。ディーゼル自動車のHONO排出量はガソリン自動車と比較して、1-2桁程度高かった。一方でNOxも1-2桁程度の高い排出量を示したことから、HONO/NOx比はガソリン自動車と同程度となった。 ガソリン自動車では主に排気ガス処理触媒の機能が低いコールドモードより、暖気走行により排気ガス処理触媒の機能が向上しているホットモードにおいて、排気ガス中のHONO排出量が高い傾向を示した。一方でディーゼル自動車では、コールドモードにおけるHONO排出量の方が高い傾向を示した。 ディーゼル自動車には粒子状物質(PM)の排出抑制を目的としたPM除去フィルター(DPF)が設置されており、DPFにトラップされた粒子を高温の排気ガスで除去する機構が備わっている。このDPF処理の頻度により、排気ガス中のHONO排出量が異なる傾向を示すことが解った。この結果よりディーゼル排気ガスではDPF上の粒子(特に煤などのBCと想定される)上でのHONO生成過程が、ディーゼル排気ガス中のHONO排出量の増加に寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では測定装置の不備により実験が停滞してしまったが、2年目では装置の復旧に伴い予定通りディーゼル排気ガス中のHONO濃度の測定と排出量推計を行うことができた。現在次の実験計画である、最新の自動車排気ガス規制(ポスト新長期規制)以前のガソリンおよびディーゼル自動車排気ガス中のHONO濃度測定と排出量推計に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最新の自動車排気ガス規制(ポスト新長期規制)以前のガソリンおよびディーゼル自動車排気ガス中のHONO濃度測定と排出量推計に取り組んでおり、2019年4月末現在において、2台のガソリン自動車を対象とした排気ガス測定を行った。この実験において、自動車排気ガス測定に問題点は現状では見られなかった。 今後は10-11月に追加でのガソリン自動車及びディーゼル自動車を対象とした実験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Comprehensive measurements of atmospheric OH reactivity and trace species within a suburban forest near Tokyo during AQUAS-TAMA campaign2018
Author(s)
Sathiyamurthi Ramasamy, Yoshihide Nagai, Nobuhiro Takeuchi, Shohei Yamasaki, Koki Shoji, Akira Ida, Charlotte Jones, Hiroshi Tsurumaru, Yuhi Suzuki, Ayako Yoshino, Kojiro Shimada, Yoshihiro Nakashima, Shungo Kato, Shiro Hatakeyama, Kazuhide Matsuda, Yoshizumi Kajii
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Journal Title
Atmospheric Environment
Volume: 184
Pages: 166-176
DOI
Peer Reviewed
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