2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K00521
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹内 政樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学系), 准教授 (10457319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学系), 教授 (40207121)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境分析 / 越境大気汚染 / 富士山 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのPM2.5捕集器では、ミストチャンバーのフィルターに疎水性フィルターを用いていた。このフィルターは表面張力が32 mN/m以上の溶液をろ過しないため、表面張力の大きな水はフィルターをろ過しない。しかし、表面張力の小さな溶液に浸漬されると親水化が起こり、疎水性が失われる。疎水性フィルターを用いたPM2.5捕集器を富士山頂で稼働させたところ、3日程度で疎水性が失われてしまった。そこで本年度は、富士山頂における長期間の連続稼働に耐えうるPM2.5捕集器の開発を検討した。親水性フィルターを用いたPM2.5捕集器を設計・製作し、その性能を評価した。ミストチャンバー内で捕集液が適切に噴霧するよう3DプリンタでPM2.5捕集器のノズル部を設計・製作した。製作したPM2.5捕集器について、捕集液の噴霧量を変化させながら大気吸引量の限界値を調べたところ、噴霧量0.1~1.0 mL/minでは、約5 L/minで大気を吸引することができた。続いて、純水でろ過洗浄、あるいは超音波洗浄した親水性フィルターを用いてPM2.5捕集器のブランク値(Cl-、NO2-、NO3-、SO42-)を測定した。いずれの洗浄方法を用いたPM2.5捕集器もブランク値の測定開始から6時間経過した頃から値が一定となり、洗浄方法の違いによるブランク値に大きな差は見られなかった。また、ブランク値から求めた定量限界値を、プロトタイプの疎水性フィルターを用いたPM2.5捕集器と比較したところ、NO3-以外の3成分において、親水性フィルターを用いたPM2.5捕集器で良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な研究目標は、親水性フィルターを用いたPM2.5捕集器の製作である。製作したPM2.5捕集器の大気吸引量の限界値はプロトタイプのPM2.5捕集器より少ないものの、NO3-以外の測定対象成分のブランク値は良好であったことから、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に製作したPM2.5捕集器を用いて実大気を捕集し、その性能を評価する。続いて、捕集液からNH3を選択的に取り出すNH3拡散セルを開発する。ウエットデニューダーでガス成分を捕集した溶液あるいは前年度検討したPM2.5捕集液でPM2.5を捕集した溶液(ドナー溶液)は、陰イオン成分が除去された後、ガス拡散チューブへ逐次的に送液される。チューブの外側にはアクセプター溶液が流れており、チューブ内のNH3のみがアクセプター溶液側に拡散され、検出器に運ばれる。アクセプター溶液のpH、拡散温度の最適化をはかり、高いNH3拡散率を得る。
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Causes of Carryover |
物品費の支出が少なかったため、次年度使用額25,935円が生じた。この研究費はNH3拡散セルの構築に必要な物品費として使用する。
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