2018 Fiscal Year Research-status Report
水環境におけるフッ素テロマー化合物の汚染実態と生分解挙動の解明
Project/Area Number |
17K00536
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
茂木 守 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 担当部長 (10415391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 勇一 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 専門研究員 (30509534)
竹峰 秀祐 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 主任 (40512380)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機フッ素化合物 / PFOS / 前駆物質 / 生分解 / 水環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機フッ素化合物の一種であるペルフルオロオクタンスルホン産(PFOS)は、2009年に残留性有機汚染物質として登録され、ごく一部の用途を除き使用が禁止されている。しかし、PFOSの構造を含む有機フッ素化合物(いわゆるPFOSの前駆物質)は現在も使用されており、環境中での挙動が注目されている。 2018年度は、PFOSの前駆物質であるペルフルオロオクタンスルホンアミドエタノールリン酸エステル類(SAmPAP、diSAmPAP)について、河川水-底質培養系を用いた好気的長期生分解試験を実施した。PFOSなど有機フッ素化合物の生成量等は、LC/MS/MSを用いて測定した。100ngのSAmPAPまたはdiSAmPAPを実験系に添加したところ、168日間でSAmPAPから41%、diSAmPAPから25%のPFOSが生成した(モルベース)。滅菌系では、SAmPAPはほとんどがN-エチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエタノール(N-EtFOSE)に変化するが、diSAmPAPは168日目でも約90%がそのまま残っていた。このことから、SAmPAPのリン酸基は加水分解などにより、比較的速やかに水酸基に変化することが示唆された。また、PFPeAやPFOAなどフッ化アルキル基の末端がカルボン酸に変化した物質も生成した。これまで、N-EtFOSEの生分解過程でスルホンアミド基がカルボキシル基に置換することを確認してきたが、SAmPAPやdiSAmPAPにおいても同様な現象が起こることがわかった。また、添加量に対して生成した物質の合量が少ないため、未知物質の存在も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで知見のなかったSAmPAPの水環境中の生分解挙動を把握できた。また、滅菌した水環境中では、SAmPAPは比較的速やかにN-EtFOSEに変化するのに対し、diSAmPAPはほとんど変化しないことから、生分解挙動に差があることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSAmPAP、diSAmPAPの生分解試験を252日目まで継続する。また、フッ素テロマーリン酸エステル類やペルフルオロリン酸類について生分解試験を行い、水環境中における挙動を把握する。また、埼玉県内の35河川38地点の河川水を採取し、PFOS、PFOA及びその前駆物質などの有機フッ素化合物濃度をGC/MSとLC/MS/MSで測定することで、経年的変動を把握する。
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Causes of Carryover |
(理由)購入資材の値引き等により差金が生じた。標準試薬を効率的に使用したため、当該年度での購入が不要になった。 (使用計画)有機フッ素化合物の生分解試験、分析測定に必要な器具、標準試薬等を購入する。
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Research Products
(6 results)