2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K00548
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茂木 章 京都大学, 医学研究科, 助教 (80452332)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DNA損傷トレランス / 複製後修復 / 相同組換え / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
■ A-1. BRCA1遺伝子のエクソン11を薬剤マーカーで置換したBRCA1N/N株と薬剤マーカーをCreリコンビナーゼによって除いたBRCA1Δ11/Δ11株を作成した。BRCA1N/N株はエクソン3-10にコードされるBRCA1のN末側239アミノ酸を発現する。BRCA1Δ11/Δ11株はエクソン11によってコードされる1,118アミノ酸を欠き、エクソン10と12のフレームが通った631アミノ酸からなるBRCA1Δ11を発現する。BRCA1N/N株とBRCA1Δ11/Δ11株の表現型を比較すると、これらの株はγ線(DSB修復を反映)、エトポシド (topoisomerase II阻害剤)、シスプラチン(DNA架橋損傷剤)に対すして同程度の感受性を示すのに対して、BRCA1N/N株はBRCA1Δ11/Δ11株に比べてより強いオラパリブ (PARP阻害剤)感受性を示した。これらのことからBRCA1のエクソン11によってコードされる領域は非相同末端結合(NHEJ)によるDSB修復やDNA架橋修復に必要だが、エクソン11以外の部分は相同組換え修復(HR)において重要であることが示唆された。また、BRCA1N/N株とBRCA1Δ11/Δ11株におけるSC-neo遺伝子座における相同組換え効率を調べるためにこれらの株にSC-neo遺伝子座を導入した株を作成した。 ■ A-2. ZRANB3単独変異株の感受性プロファイリングを行なった結果、γ線、カンプトテシン、エトポシド、シスプラチンの何れも野生株と変わらなかった。 ■ B. ヒトBRCA1変異乳がん細胞株UWB1.289とBRCA1遺伝子を相補した細胞株にSHPRHのshRNAを発現させた細胞株を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
■ A-1. BRCA1N/N株とBRCA1Δ11/Δ11株の代表的DNA損傷剤に対する感受性のプロファイリングを行っている。また、SHPRH/BRCA1N/N二重変異株の薬剤選択マーカーを除くことでSHPRH/BRCA1Δ11/Δ11二重変異株を作成した。SHPRH/BRCA1二重変異株にSHPRH遺伝子を再導入した細胞株を作成したが、SHPRH遺伝子の発現レベルが十分でない可能性があったため、SHPRH遺伝子をIRESを介してGFPとbicistronicに発現するコンストラクトを作成し、GFPを指標にして発現の高い株を作成し直した。 ■ A-2. ZRANB3/BRCA1二重変異DT40株の主要薬剤に対する感受性を調べている。またZRANB3/BRCA1株のDSB誘導性HR効率を測定するため、SC-neo遺伝子座を導入した。 ■ B. ヒトBRCA1変異乳がん細胞株UWB1.289とBRCA1遺伝子を相補した細胞株にSHPRHのshRNAを発現させた細胞株を作成した。CRISPR/Cas9によるSHPRH, HLTF遺伝子破壊系の評価を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
■ A-1. SHPRH/BRCA1N/N二重変異株に加えてSHPRH/BRCA1Δ11/Δ11二重変異株を作成し、表現型を検討する。SHPRH/BRCA1N/N二重変異細胞のPARP阻害剤添加後のRAD51とγH2AXの集積、染色体断裂率、相同組換え効率の測定などをSHPRH遺伝子を再導入した細胞を加えて追加検討する。 SHPRH単独異株、SHPRH/BRCA1N/N二重変異株、SHPRH/BRCA1Δ11/Δ11二重変異株にSHPRHを遺伝子相補した細胞株を用いて、DNA新生鎖を蛍光標識抗体で検出するDNA fiber assayを行う。 ■ A-2. これまでに作成したZRANB3/BRCA1二重変異株のオラパリブ、カンプトテシン及びγ線に対する感受性を検討する。 ■ B. ヒトBRCA1変異乳がん細胞株UWB1.289においてSHPRH遺伝子の発現抑制をした細胞株の表現型解析を行う。また、CRISPR/Cas9を用いてヒトSHPRHおよびBRCA1遺伝子の単独変異株を作成する。これらの細胞株が出来次第、各細胞株を用いてDT40細胞の解析に準じた表現型解析を行う。
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Causes of Carryover |
SHPRH/BRCA1N/N二重変異株において認められた表現型をSHPRH/BRCA1Δ11/Δ11二重変異株においても検討することにした。SHPRH/BRCA1Δ11/Δ11株を作成し、表現型解析を行う。B. ヒトBRCA1変異細胞のCRISPR/Cas9によるSHPRH遺伝子破壊実験の実施に遅れが生じたため、これらにかかる研究費の執行を次年度に繰り越した。次年度にこれらの予算を執行し、実験を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)