2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of high time resoluution atmopheric tritium sampler and its application as environmental research
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17K00559
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
赤田 尚史 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (10715478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トリチウム / 大気 / 高時間分解能 / トレーサー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、HTを酸化するための疎水性触媒について、本研究所が所有する触媒性能評価システムを用いて水素酸化性能評価を実施した。空間速度を変化させることで水素から水への転換率について評価した結果、良好な結果を得ることができた。ただし、本実験では低流量実験しか実施できていないため、次年度以降により現実的な流量条件下での性能評価を実施する予定である。 高時間分解能観測を連続的に実施するためには、装置の自動化が不可欠である。そこで、電磁バルブを組み合わせることで、連続観測をできるシステムを製作した。電磁バルブはタイマーによる操作パネルでコントロールすることができ、最大で6個のコールドトラップが取り付け可能である。バルブやライン内へのメモリーを低減化するため、すべてテフロンコーティングされたものを使用した。本システムの動作確認では両行に動作することが確認できた。 本研究で製作したシステムを用いて、比較的HTO濃度が高いと予測される北海道での観測を予定している。本年度は、札幌市における大気水蒸気濃度レベルを把握することを目的に、吸湿材を詰めたカラムを用いて2-3日間隔での大気水蒸気捕集実験を実施した。その結果、2018年11月に2-3日間隔で採取した大気水蒸気中トリチウム濃度は、0.39~0.68 Bq L-1の範囲ですべての試料で検出することができた(MDL: 0.3 Bq/L)。また、2-3日間隔でも比較的大きな変動傾向を示すことが分かった。この濃度変動は、前線の通過による空気塊の入れ替わりが原因であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電磁バルブと操作パネルからなる自動化システムを製作し、両行な動作を確認することができた。一方、疎水性触媒の性能評価では、実際の流量までの条件下で実施することができなかった。しかし、実際のフィールドで、比較的短い観測を実施して、濃度レベルとその変動傾向を把握できたことから、本研究は順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和1年度は、すべてのシステムを連結し、平成30年度に事前調査を実施した札幌市内においてテスト観測を行う。得られたデータは観測地点近傍にあるアメダス地点のデータおよび札幌気象台で観測している構想気象データを利用して解析を進める。 近年、大気水蒸気の輸送経路解析に衛星画像データが利用されている。そこで、広報流跡線解析と衛星画像解析を組み合わせた水蒸気輸送経路の解析を進める。 得られたデータを組み合わせ、総合解析を実施する。
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Causes of Carryover |
本年度購入予定の卓上冷却トラップ装置は、電磁バルブを取り付けたシステムの試運転を優先したため、既存の大型のもので代用した。電磁バルブシステムの製作が済んだので、来年度はシステムに適した卓上冷却トラップを購入予定である。
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